ふるや税理士・CFP@のブログ

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本日は会社が自己株式を買い取る場合の課税関係について説明します。


まず、株を買い取る際の時価ですが、所得税基本通達59-6(http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shot... )、法人税基通 9-1-14(http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_01_03.htm )に算定方法の詳細があります。基本的に両評価方法は財産評価通達に準じます。


個人から買い取る場合は原則として所通達59-6又は法基本通達9-1-14により、法人から買い取る場合は課税上弊害がない限り法基本通達9-1-14によります。


ただし、非上場株式の場合は明確な市場価格がなく、この基本通達で示された時価も絶対ではありません。
利害が対立する独立した当事者同士が会社の価値を合理的に評価した上で合意した価額であれば、この通達によらずともそれもまた時価と言えます。従って自己株式の売却額が、この通達により算定される時価よりも低額又は高額であっても、その差額が即時価との差額とされることはありません。ただし同族会社において、オーナー株主や法人の税負担を不当に減少させる結果となると認められる可能性がある場合は、時価の算定はより慎重に行う必要があり、本通達に従うことが無難です。


次に課税関係及び仕訳等です。
1、時価による譲渡をした場合
1)譲渡人側の税務上の取扱い
①みなし配当・・・譲渡対価―譲渡株式のうち発行法人の資本等の金額対 応部分の金額
②譲渡所得・・・譲渡対価―みなし配当の額―当該株式の取得費
③仕訳例 法人が、自己株式(100株、1株当たり資本金等の額:5万円、取得価額400万円)を、700万円で   

      取得した場合(源泉税は考慮外)
          現金預金 700万円 / 株 式 400万円
                       / みなし配当200万円(=700-5×100)
                       / 譲渡所得 100万円
2)譲渡人側の税務上の取扱い
交付した金銭の額のうち取得資本金額(取得直前の1株当たり資本金等の額×取得自己株式数)に相当する金額を資本金等の額から控除し、取得資本金額を超える金額を利益積立金の額から控除します。したがって、会社において自己株式の取得により益金・損金が生じることはありません。
    資本金等の額 500万円 / 現金預金 700万円
    利益積立金額 200万円/

2.時価を上回る譲渡をした場合
自己株式の譲渡において、前述の時価を超える場合には以下のような取扱いとなります。
1)譲渡人側の税務上の取扱い
個 人 株 主・・・・時価を超える部分につき一時所得
役員(社員)株主 ・・・・時価を超える部分につき給与所得
2)会社側の税務上の取扱い
個人株主より買入・・・・時価を超える部分は寄付金
役員株主より買入・・・・時価を超える部分は役員賞与
仕訳例 1.時価による譲渡の例で現金預金を1000万円支払った場合
       資本金等の額 500万円 / 現金預金 1000万円
       利益積立金額 200万円/
   寄付金又は役員賞与300万円/

3.時価の2分の1未満での譲渡をした場合
1)譲渡人側の税務上の取扱い
みなし譲渡課税
個人株主・・・時価の1/2以下での譲渡は、時価で譲渡したものとされます

仕訳例
法人が、自己株式(100株、1株当たり資本金等の額:5万円、取得価額400万円)を、300万円(時価は700万円)で取得した場合(源泉税は考慮外)
    現金預金 300万円 / 株 式 400万円
      寄附金 400万円 / みなし配当200万円(=700-5×100)
                 / 譲渡所得 100万円
売主が個人であれば寄附金につき課税関係は生じません。

2)会社側の税務上の取扱い
   時価を超える部分につき受増益を認識
    仕訳例

      資本金等の額 500万円 / 現金預金 300万円
      利益積立金額 200万円/ 受増益 400万円