2008年頃からAirbnb等を活用して、外国人観光客に個人宅や投資用マンションを貸し出すビジネスが出現しました。
このようなビジネスを「民泊」と呼んでいます。
今後さらに、2020年の東京オリンピックに向け需要の拡大が見込まれます。
現行制度において、この民泊を行った場合に、固定資産税の「住宅用地の減額特例」が受けられなくなったケースが報告されています。
そのため、今後民泊を行うにあたって、どのようなことに注意すべきかを今回のブログで紹介させて頂きます。
1.概要
昨今、民泊を行う事業者が違法な営業をしていることが問題視されています。
民泊を行うには、下記の許可又は認定を受ける必要がありますが、許可又は認定を受けずに営業を行っている事業者が多いのが現状です。
このような問題を受けて、民泊新法の策定が予定されています。
※民泊を行うには、下記のいずれかを満たす必要があります。
(1)旅館業法による許可を受ける
(2)国家戦略特区に基づく民泊条例による認定を受ける
2.「民泊」と「住宅用地の減額特例」
家屋を民泊に使うことで住宅用地に該当しなくなることが考えられます。
住宅用地に該当しないことで、「住宅用地の減額特例」の適用を受けられなくなってしまいます。
【住宅用地の減額特例とは】
毎年1月1日において、課税台帳に登録されている土地・家屋などの不動産に対して固定資産税が課税されます。
税額は固定資産税評価額の1.4%が標準となります。
しかし、土地に関しては下記のような軽減措置が設けられています。
「住宅用地」
200㎡以下の部分(小規模宅地)…課税標準6分の1
200㎡を超える部分…課税標準3分の1
3.具体例
土地に係る固定資産税について、具体例を用いて紹介させて頂きます。
(1)家屋を民泊に使うケース
【前提条件】
土地全体の面積200㎡
家屋全体の床面積150㎡
土地の課税標準額2,400万円
課税標準額
400万円(2,400万円×1/6)
「住宅用地の減額特例」を適用しています。
土地全体の面積200㎡が200㎡以下(小規模宅地)であるため、課税標準額が1/6となります。
固定資産税額
5万6千円(400万円×1.4%)
※「住宅用地の減額特例」を適用できなかった場合の固定資産税額
33万6千円(2,400万円×1.4%)
特例を受けられずに税額を算出した場合、固定資産税額は28万円多くなります。
特例の適用を受けた場合と受けられなかった場合では、納税額にかなりの差が生じてきます。
4.終わりに
先ほども述べましたように固定資産税の住宅用地の減額特例が受けられなくなったケースが報告されています。
所有者が家屋に居住していない場合や旅館業法等の許可を受けている場合には、自治体によって家屋が非住宅用地とみなされ、「住宅用地の減額特例」を適用できない可能性があります。
ただし、今回紹介させて頂いたのは、現行制度による取り扱いであるため、民泊新法が制定されることにより上記ケースのような固定資産税の取り扱いが変更される可能性があります。
そのため、今後の民泊新法の動向に注目です。