国境を超えた役務の提供に対する消費税課税の見直し | アークス総合会計事務所のブログ

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以前のブログにてご紹介した「国境を超えた役務の提供に対する消費税課税の見直し」について、6月3日に国税庁よりQ&Aが公表されました。

今回と次週でこのQ&Aで公表された内容を抜粋してご紹介いたします。

1.今回の改正の概要

今回の改正の概要は次のとおりとなります。

(1) 電気通信利用役務の提供に係る「内外判定基準」の見直し

改正前 … 「役務の提供を行う者」の役務提供に係る事務所等の所在地
改正後 … 「役務の提供を受ける者」の住所等

(2)リバースチャージ方式の導入

事業者向け電気通信利用役務の提供については、国外事業者から役務提供を受けた事業者が「特定課税仕入」として申告及び納税をすることになります。

(3)上記(2)以外の電気通信利用役務の提供に係る仕入税額控除の制限

上記(2)以外の電気通信利用役務の提供については、当分の間、仕入税額控除ができないこととされています。
ただし、「登録国外事業者」から提供を受けた場合については仕入税額控除を行うことができます。
これは、「登録国外事業者」については納税をされることが確からしいため、対応するその仕入先については仕入税額控除を認めるべきだからです。

(4)登録国外事業者制度の創設

国税長官の登録を受けた登録国外事業者から(3)の役務提供を受けた場合には、仕入税額控除が可能となる制度が創設されます。

(5)適用開始時期

平成27年10月1日以後に行われる課税資産の譲渡及び課税仕入から適用されます。
消費税の増税の時と同様、事業年度は関係ないことにご注意ください。

2.「電気通信利用役務の提供」の範囲

電気通信利用役務の提供とは、対価を得て行われるインターネット等を介して行われる電子書籍の配信やクラウドサービスなどが該当します。

(1)インターネット等を通じて行われる電子書籍・音楽・映像・ソフトウエアなどの配信
(2)顧客に、クラウド上のソフトウエアやデータベースを利用させるサービス
(3)顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス
(4)インターネット等を通じた広告の配信・掲載
(5)インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス
(6)インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト

なお、電話、電信その他の通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供、電話やインターネット回線の接続などの通信そのものに該当する役務の提供は除かれます。
(国外事業者に依頼する情報の収集・分析等、国際電話やインターネットなどの通信インフラなど)

3.「事業者向け電気通信利用役務の提供」の範囲

(1)役務の性質からの分類

上記2のうち(4)や(5)は、役務の性質から「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当します。

(2)取引条件等からの分類

取引当事者間において提供する役務の内容を個別に交渉し、取引当事者間固有の契約を結ぶもので、契約において役務の提供を受ける事業者が事業として利用することが明らかなものは取引条件等から「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当します。

※「事業者向け電気通信利用役務の提供」を行う国外事業者には、あらかじめ、役務の提供を受ける事業者に対して、当該取引が「リバースチャージ方式」の対象である旨の表示を行う義務があります。

4.「電気通信利用役務の提供」の内外判定

電気通信利用役務の提供について、当該役務の提供を行う者及び当該役務の提供を受ける者に応じた改正前及び改正後の課税関係は、次のとおりとなります。

内外判定


(1)国内事業者の方が電気通信利用役務の提供を行った場合(売上取引)

当該役務の提供を行った取引相手の住所等が国内にあるかどうかにより内外判定を行います。

(2)国内事業者の方が電気通信利用役務の提供を受けた場合(仕入取引)

当該役務の提供を行った事業者の役務の提供に係る事務所等の所在地にかかわらず、国内取引に該当します。
(内外判定が「役務の提供を受ける者」の住所等で判定されるため、「役務の提供を行う者」の住所等がどこであっても関係がないため)


今回のご紹介はここまでとなります。翌週の更新にて、リバースチャージ方式の実務上の注意点を中心にご紹介いたします。

【参考URL】
国税庁:「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について(国内事業者の皆さまへ)(平成27年5月)」
国税庁:国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A(平成27年5月)