平成27年度の税制改正により、「試験研究費の総額に係る税額控除制度」が見直されることとなり、「特別試験研究費」の範囲の拡充とともに、税額控除率が引き上げられます。
以下、従来からの制度概要と改正内容についてご説明致します。
Ⅰ.従来からの制度概要
1.制度の概要
所得の計算上損金の額に算入される試験研究費の額がある場合、その事業年度の法人税額から、試験研究費の額に税額控除割合を乗じて計算した金額を控除できる制度
2.適用要件
青色申告法人であること
3.試験研究費とは
製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する次の費用をいいます。
試験研究費 … 原材料費、人件費及び経費のほか、他の者に試験研究を委託するために支払う費用などの額
※ただし、試験研究に充てるために他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額は控除します。
4.一般試験研究費の控除税額の計算
(1)中小企業者等以外
(a)試験研究費割合が10%以上の場合…試験研究費の額×10%
(b)試験研究費割合が10%未満の場合…試験研究費の額×(8% + 試験研究費割合×0.2)
※ただし、法人税額×30% が控除できる上限となります。
(2)中小企業者等
試験研究費の額×12%
※ただし、法人税額×30% が控除できる上限となります。
5.特別試験研究費の控除税額の計算
試験研究費のうち、以下を特別試験研究費とする
A.国の試験研究機関等・大学との間の共同・委託研究
B.民間企業との共同研究
C.中小企業者への委託研究 等
特別試験研究費については、以下(1)又は(2)のうち、いずれか少ない金額を法人税から控除できる
(1)税額控除限度額
特別試験研究費の額×12%
(2)控除上限額
一般試験研究費の控除限度の枠内
(一般試験研究費と併せて法人税額×30%)
5.控除限度超過額の繰越制度
ある事業年度の試験研究費の額>前事業年度の額 の場合
前事業年度において生じた税額控除限度超過額を、1年間に限り繰越控除することができる
(但し、控除上限額は法人税額×30%から税額控除限度額を控除した残額とする)
Ⅱ.平成27年度税制改正による見直し
1.一般試験研究費の控除上限額
従来 … 法人税額×30%
改正後 … 法人税額×25%
2.特別試験研究費の範囲
従来 … 上記Ⅰ.5.A-Cのとおり
改正後 …
・Cの委託先に「公益法人等、地方公共団体の機関・地方独立行政法人等」を追加
・「D.中小企業者から知的財産権の許諾等を受けて行う試験研究」を追加
3.特別試験研究費の税額控除限度額
従来 …一律で特別試験研究費の額×12%
改正後 …
A:特別試験研究費の額×30%
B-D:特別試験研究費の額×20%
4.特別試験研究費の控除上限額
従来 … 一般試験研究費の控除限度の枠内
改正後 … 法人税額×5%(一般試験研究費の控除上限額とは別枠)
5.控除限度超過額の繰越制度の廃止
従来 … 控除限度超過額の繰越制度 有
改正後 … 控除限度超過額の繰越制度 無
6.適用時期
平成27年4月1日以後に開始する事業年度において適用する
特別試験研究費の範囲が拡充され、また税額控除率が引き上げられたことにより、より効果が拡大しています。
試験研究費を計上された際は、上記税額控除を受けられるかどうか忘れず判定しましょう。
なお、平成20年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する各事業年度においては、上記に加え「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」が受けられますので、併せてご検討ください。
以下、従来からの制度概要と改正内容についてご説明致します。
Ⅰ.従来からの制度概要
1.制度の概要
所得の計算上損金の額に算入される試験研究費の額がある場合、その事業年度の法人税額から、試験研究費の額に税額控除割合を乗じて計算した金額を控除できる制度
2.適用要件
青色申告法人であること
3.試験研究費とは
製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する次の費用をいいます。
試験研究費 … 原材料費、人件費及び経費のほか、他の者に試験研究を委託するために支払う費用などの額
※ただし、試験研究に充てるために他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額は控除します。
4.一般試験研究費の控除税額の計算
(1)中小企業者等以外
(a)試験研究費割合が10%以上の場合…試験研究費の額×10%
(b)試験研究費割合が10%未満の場合…試験研究費の額×(8% + 試験研究費割合×0.2)
※ただし、法人税額×30% が控除できる上限となります。
(2)中小企業者等
試験研究費の額×12%
※ただし、法人税額×30% が控除できる上限となります。
5.特別試験研究費の控除税額の計算
試験研究費のうち、以下を特別試験研究費とする
A.国の試験研究機関等・大学との間の共同・委託研究
B.民間企業との共同研究
C.中小企業者への委託研究 等
特別試験研究費については、以下(1)又は(2)のうち、いずれか少ない金額を法人税から控除できる
(1)税額控除限度額
特別試験研究費の額×12%
(2)控除上限額
一般試験研究費の控除限度の枠内
(一般試験研究費と併せて法人税額×30%)
5.控除限度超過額の繰越制度
ある事業年度の試験研究費の額>前事業年度の額 の場合
前事業年度において生じた税額控除限度超過額を、1年間に限り繰越控除することができる
(但し、控除上限額は法人税額×30%から税額控除限度額を控除した残額とする)
Ⅱ.平成27年度税制改正による見直し
1.一般試験研究費の控除上限額
従来 … 法人税額×30%
改正後 … 法人税額×25%
2.特別試験研究費の範囲
従来 … 上記Ⅰ.5.A-Cのとおり
改正後 …
・Cの委託先に「公益法人等、地方公共団体の機関・地方独立行政法人等」を追加
・「D.中小企業者から知的財産権の許諾等を受けて行う試験研究」を追加
3.特別試験研究費の税額控除限度額
従来 …一律で特別試験研究費の額×12%
改正後 …
A:特別試験研究費の額×30%
B-D:特別試験研究費の額×20%
4.特別試験研究費の控除上限額
従来 … 一般試験研究費の控除限度の枠内
改正後 … 法人税額×5%(一般試験研究費の控除上限額とは別枠)
5.控除限度超過額の繰越制度の廃止
従来 … 控除限度超過額の繰越制度 有
改正後 … 控除限度超過額の繰越制度 無
6.適用時期
平成27年4月1日以後に開始する事業年度において適用する
特別試験研究費の範囲が拡充され、また税額控除率が引き上げられたことにより、より効果が拡大しています。
試験研究費を計上された際は、上記税額控除を受けられるかどうか忘れず判定しましょう。
なお、平成20年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する各事業年度においては、上記に加え「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」が受けられますので、併せてご検討ください。
参考URL:
「財務省HP:平成27年度税制改正」
「国税庁HP:試験研究費の総額に係る税額控除制度」