12月30日に決定された平成27年税制改正大綱のうち、前回は法人や個人事業主の方に係る部分を中心にお伝えしました。
今回は、個人の方に係る改正の概要をお伝えします。
1.投資の増加を促す税制
(1)ジュニアNISA(子ども版NISA)が創設され、20歳未満の未成年者の口座開設が可能になります。毎年の投資上限額は80万円迄とされます。
ジュニアNISA(こども版NISA)とは、今まであったNISAを祖父母や両親といった親権者等が未成年者のために代理して運用を行うことが可能になる制度です。
名義は「子ども」でも実際の投資等の管理を「大人」が行うことが可能となるのが今までのNISAとの違いとなります。
平成28年1月1日以後に口座開設の申し込みがされ、同年4月1日以後にその口座に受け入れる上場株式等に適用されます。
(2)今までのNISAの非課税の投資の限度額の上限が、現行の100万円から120万円まで引き上げられます。
2.消費の拡大を促す税制
(1)結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設
子や孫の結婚・出産・育児に要する資金の一括贈与に係る非課税措置が創設されます。
非課税枠は、受贈者1人に1000万円まで、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に拠出されるものに限るとされています。
(ただし、結婚に際して支出する費用については300万円が限度額)
(2)子や孫への教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度の拡充及び延長
子や孫名義の金融機関の口座等に教育資金を一括して預入等をした場合において、子・孫ごとに1.500万円までを非課税とする制度です。
(学校等以外に支払われるものについての限度額は500万円)
また、教育資金とは次のようなものをいいます。
(a)学校等に対して直接支払われる次のような金銭
・入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入園入学試験の検定料など。
・学用品費、修学旅行費、学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など。
(b)学校等以外に対して直接支払われる金銭で社会通念上相当と認められるもの。
今回の改正案では、対象となる教育資金の範囲に通学定期券代や留学渡航費等が加えられます。
また、適用期限が現行の平成27年12月31日から平成31年3月31日まで延長されます。
(3)子・孫への住宅取得等資金贈与の特例の拡充及び延長
父母や祖父母からの贈与により自己の居住の用に供する住宅の新築若しくは取得又は増改築等のためのお金を贈与により取得した場合において、
一定金額までの贈与につき贈与税が非課税となる制度です。
また、この制度の適用を受けるには一定の要件を満たす必要があります。下記に一部抜粋で記載いたします。
(a)受贈者の要件
・贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2.000万円以下であること。
・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること、もしくは同日後すぐにその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
(b)家屋の要件(新築物件、または取得する場合)
・床面積が50㎡以上240㎡以下でその家屋の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住部分であること。
・耐震基準適合証書もしくは住宅性能評価の写しにより証明されたもの。
(c)家屋の要件(増改築の場合)
・床面積が50㎡以上240㎡以下でその家屋の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住部分であること。
・増改築等の工事に要した費用が100万円以上であること。
今回の改正案では、この特例について、良質な住宅家屋の範囲及び対象となる増改築等の拡充がされます。
また、適用期限が平成27年1月1日から平成31年6月30日まで延長されます。
3.ふるさと納税の拡充
故郷や応援したい自治体に寄付の形で納税できる「ふるさと納税制度」が拡充されます。
(1)特例控除限度額が現在の1割から2割に引き上げられます。
(2)手続きを簡素化する「ワンストップ制度」が創設されます。
確定申告不要な給与所得者が寄付を行う場合に、自治体への控除申請を、寄付者に代わって寄付先の自治体が代行できる制度です。
ただし、寄付者が確定申告を行った場合には、ワンストップ制度は適用されません。
なお、この税制改正大綱の内容は、今後国会で審議され可決成立されれば適用されることとなりますので、その時期になりましたら改めてお伝えさせていただきます。
参考URL:自民党「平成27年度税制改正大綱」