決算賞与と役員賞与 | アークス総合会計事務所のブログ

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1.決算賞与

決算時に利益が見込まれる場合、従業員に対して決算賞与を支給することで節税することができます。
決算賞与は損金として算入できるため以下の例の通り節税することができます。

(1)節税効果

例)1,000万円の利益が出た法人があるとします。(実効税率40%とする)

1)対策無しの場合
1,000万×40%=400万円が納税額となる。

2)決算賞与として800万円を支払った場合
(1,000万-800万)×40%=80万円が納税額となる。

上記の通り、納税額を320万円減額することができました。

(2)メリット・デメリット

1)メリット
・従業員のモチベーションアップにつながる
・会社の利益が圧縮でき、納税額を減額する

2)デメリット
・従業員が毎年賞与を期待するようになり、決算賞与を支給できないとモチベーションを下げてしまう可能性がある
・キャッシュアウトで比べると、(1)の2)の方が480万円多く、運転資金が少なくなる

(
3)損金算入要件

決算賞与が損金として認められるためには以下の要件が必要となります。

1)決算月に支給した場合→損金算入できます

2)決算月の翌月に支給→以下の要件を満たす必要があります

①決算日までに、支給額を、各人別に、支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること(賞与支給通知書は決算賞与のみではなく、通常の賞与支給時にも必要)
②通知をした金額を通知したすべての使用人に対し決算日の翌日から1ヶ月以内に支払っていること
③その支給額につき通知をした日の属する事業年度において未払計上していること

上記の①,②については、税務調査でその証明を求められることを見越して以下の対策をとりましょう。

①書面で通知し、了解のサインをもらっておく
②各人に銀行振込をすれば証拠として残るが、現金支給した場合は従業員各人から受領証を収受し、保管する


2.役員賞与

役員給与については、定期同額(毎月同額)であることが原則です。
但し、「事前確定届出給与」として賞与を支給するのであれば、損金算入することができます。

(1)事前確定届出給与

次の要件を満たす給与をいいます。

1)その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与であること
2)届出期限までに税務署長に給与の定めの内容に関する届出をしていること

(2)届出内容と実際の支給が異なる場合

1)支給額が届出額を上回る場合は、全額が損金不算入です。
2)支給額が届出額を下回る場合も、原則は損金不算入です。但し、業績悪化等特別な事情がある場合は、事前確定届出給与に関する変更届出を提出することにより損金算入が容認されるケースもあります。

例)支給額を100万円として事前確定届出給与に関する届出書を提出していたとする

1)100万円を支給した場合
全額が損金として認められる。

2)50万円を支給した場合
100万円未満のため、支給した50万円が全額損金不算入とされる。

3)全く支給しなかった場合
費用としても計上されず、当然に損金算入される対象もない。

利益が出た場合を見越して、選択肢の一つとして事前確定届け給与に関する届出書を提出しておくことも御一考ください。


参考URL:
国税庁「使用人賞与の損金算入時期」
国税庁「役員に対する給与」