前回に引き続き、消費税転嫁対策法のガイドライン案の残り下記3つの概要をお伝えします。
「消費税の転嫁を阻害する表示に関する考え方」
「総額表示義務に関する特例の適用を受けるために必要となる誤認防止措置に関する考え方」
「総額表示義務に関する消費税法の特例に係る不当景品類及び不当表示防止法の適用除外についての考え方」
1.消費税の転嫁を阻害する表示に関する考え方について
消費税転嫁対策法では、消費税の転嫁措置を阻害する表示の是正措置として消費税分を値引きする等の表示を禁止しています。
この案はあたかも消費者が消費税を負担していない又はその負担が軽減されているかのような誤認を消費者に与えないようにするとともに、
納入業者に対する買い叩きや、競合する小売業者の消費税の転嫁を阻害することにつながらないようにするために、事業者が消費税分を値引きする等の宣伝や広告を行うことを禁止するものです。
(1)禁止される表示の基本的な考え方
1)消費税分を値引きする等の宣伝や広告を禁止するもの
2)「消費税」といった文言を含まない表現については、宣伝や広告の表示全体から消費税を意味することが客観的に明らかでなければ、禁止される表示には該当しない。
(2)禁止される表示の具体例等
1)取引の相手方に消費税を転嫁してない旨の表示
・「消費税は転嫁しません」
・「消費税を転嫁していないので、価格が安くなっています」
・「消費税還元セール」
2)消費税相当額を値引きする旨の表示であって、その関連を明示しているもの
・「消費税率上昇分値引きします」
・「増税分は勉強させていただきます」
3)消費税に関連して相手方に経済上の利益を提供する旨の表示であって上記に掲げる表示に準ずるもの
・「消費税相当分の商品券を提供します」
・「消費税増税分を後でキャッシュバックします」
(3)禁止されない表示の具体例等
下記のような表示は、宣伝や広告の表示全体かたみて消費税を意味することが客観的に明らかでなければ禁止されません。
1)消費税との関連がはっきりしない「春の生活応援セール」
2)たまたま消費税率の引上げ幅と一致するだけの「3%値下げ」
2.総額表示義務に関する特例の適用を受けるために必要となる誤認防止措置に関する考え方について
消費税転嫁対策法では、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保及び事業者による値札の貼り替え等の事務負担に配慮する観点から
消費税転嫁対策法が失効する平成29年3月31日までの間、税込価格を表示することを要しないものとする特例があります。
財務省が作成したこの案では、消費者の利便性に配慮する観点から本特例の適用を受けるための要件である「誤認防止措置」について、
基本的な考え方や具体例を記載しています。
(1)基本的な考え方
誤認防止措置としての表示は、消費者が商品等を選択する際に、明確に認識できる方法で行う必要があります。
(2)税抜価格のみを表示する場合の誤認防止措置
1) ○○○円(税抜き)
2) ○○○円(税抜価格)
3) ○○○円(本体価格)
4) ○○○円+消費税
(3)旧税率に基づく税込価格等で価格表示されている場合の誤認防止措置
1)新税率適用後においても一時的に旧税率い基づく税込価格の表示が残る場合
個々の値札においては「○○○円」と旧税率に基づく税込価格を表示し、別途、店内の消費者が商品を選択する際に目につきやすい場所に、明瞭に、
「旧税率(5%)に基づく税込価格を表示している商品については、レジにてあらためて新税率(8%)に基づき精算させていただきます」といった掲示を行う。
3.総額表示義務に関する消費税法の特例に係る不当景品類及び不当表示防止法の適用除外についての考え方について
消費税転嫁対策法では、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、消費税の転嫁を阻害する行為の是正、価格の表示並びに消費税の転嫁の方法の決定に係る
共同行為に関する特別の措置について定めています。
消費者庁が作成したこの案では、税込価格と税抜価格が併記される場合において、税込価格が明瞭に表示されている場合には、価格について消費者に誤認を
与えることにはならないため、景品表示法第4条第1項の適用が除外されることを確認的に規定したものです。
(1)税込価格が明確に表示されているか否かの考え方
明確に表示されているか否かの判断は下記の要素が総合的に判断されます。
1)税込価格表示の文字の大きさ … 文字が著しく小さいため見落としてしまう可能性があるか否か
2)文字間余白、行間余白 … 余白の大きさ、一定幅あたりの文字数等から消費者にとって見づらくないか
3)背景の色と対称性 … 分かりにくい色の組み合わせになってないか。望ましいのは背景と文字の色は対称的な色の方が良い
(2)具体例