資産の貸付けに係る契約に関する経過措置の対象となるのは、平成8年10月1日から平成25年9月30日までの間に資産の貸付けに係る契約を締結し、平成26年4月1日前から同日以後引き続きその契約に基づいて資産の貸付けを行っている場合で、契約内容が下記1)及び2)又は1)及び3)の要件に該当するときは、平成26年4月1日以後の貸付けに対しても、消費税は改正前の5%の税率が適用されます。
1)貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること
2)事情の変更その他の理由により、対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと
3)契約期間中にいつでも解約を申入れできる旨の定めがないこと、その他対価に関する契約内容が政令で定める要件に該当していること
1.不動産賃貸借契約の場合
(1)自動継続条項のある契約期間2年間の賃貸借契約の場合
自動継続条項があるとしても、契約における当初の貸付期間の2年間は経過措置が適用されます。
ただし、自動更新後については、8%の税率が適用されます。
(2)貸付期間の解約条項がある場合
(貸付期間及び貸付期間中の賃貸料が定められており、かつ賃借料の変更はできないこととなっているが、やむを得ない事情が生じた場合には、いつでも解約が可能である旨の特約が記載されている場合)
上記の経過措置適用の3)の要件には該当しませんが、1)及び2)の要件を満たしますので、経過措置の対象となります。
(3)資産の貸付に係る契約において、借り手が支払うべき消費税相当分について「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨が定められている場合
「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めは、上記の経過措置適用の2)の「事情の変更その他の理由により、対価の額の変更を求めることができる旨の定め」に該当しないと取り扱われます。
したがって、他の要件を満たす場合には「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めが記載されていたとしても、経過措置の対象となります。
ただし、指定日以後に「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めにより、賃借料を変更した場合は経過措置が適用されず8%の税率となりますので注意が必要です。
2.リース契約の場合
リース契約の場合は、下記の取引きごとに取扱いが異なります。
(1)平成20年4月1日以後に契約を締結したファイナンス・リース取引
平成20年4月1日以後に契約を締結したファイナンス・リース取引は、「リース取引の目的となる資産の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があったもの」として取り扱われます。
よって、引渡し時点(借受日時点)の消費税率が適用されます。
(2)平成20年3月31日以前に契約を締結したファイナンス・リース取引
平成20年3月31日以前に契約を締結したファイナンス・リース取引は、「売買」又は「金融」とされる取引を除き、賃貸借処理となります。
消費税の取扱は、「リース取引の目的となる資産の譲渡若しくは貸付け又は金銭の貸付けのいずれかに該当するかは、所得税又は法人税の課税所得の計算における取扱いの例により判定する。」とされています。
よって、賃貸借処理をしている場合は、「資産の貸付け」として取り扱われるため、経過措置が適用されます。
(3)オペレーティング・リース取引
オペレーティング・リース取引については賃貸借処理となり、消費税の取扱いにおいても、「資産の貸付け」として取り扱わるため、経過措置が適用されます。
※経過措置の適用がある取引については、その旨を書面により取引の相手方(借手)に通知する必要があります。
なお、この通知は、請求書、支払明細書に記載することにより行って差し支えありません。