1.請負契約に関する経過措置
請負契約において、経過措置の対象となるのは下記の3つとなります。
(1)工事の請負に関わる契約
日本標準産業分類(総務省)の大分類に掲げる建設業に係る工事につき、その工事の完成を約し、かつ、それに対する対価を支払うことを約する契約をいうものとする。
(2)製造の請負に関わる契約
日本標準産業分類(総務省)の大分類に掲げる製造業に係る製造につき、その製造に係る目的物の完成を約し、かつ、それに対する対価を支払うことを約する契約をいうものとする。
※ 製造物品であっても、その製造がいわゆる「見込み生産」によるものは、「製造の請負に係る契約」によって製造されたものにならないことに留意する。
(3)その他請負に関する契約
1)測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画、立案及び監理並びに設計
2)映画の制作
3)ソフトウエアの開発
4)その他の請負に係る契約(委任その他の請負に類する契約を含む。)
これらの契約で下記要件に該当する場合には、経過措置の適用を受けることが出来ます。
1)仕事の完成に長期間を要す
2)目的物の引渡が一括して行われる
3)仕事の内容につき相手方の注文が付されているもの(建物の譲渡に係る契約で、当該建物の内装若しくは外装又は設備の設置若しくは構造についての当該建物の譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物に係るものを含む。)
2.経過措置の要件
下記の要件を満たした請負契約については、増税実施日以降の引渡しでも旧税率(5%)が適用されます。
(1)新税率施行日の半年前を「指定日」とされております。
(2)「指定日」の前日までに締結した請負契約であれば、引渡しが新税率施行日以降となっても旧税率が適用されます。
3.経過措置の適用の際のポイント
経過措置の適用を受ける事業者は、「経過措置の適用を受けたものであること」を相手方に書面で通知することとされています。(改正法附則第5条8)
なお、この通知は消費税法で定める「請求書等」にその旨を記載することで代替が可能です。
【書面で通知する際の記載項目】
(1)通知書を作成する事業者の氏名・名称・住所・電話番号
(2)請負工事の内容
(3)経過措置の根拠条項(「改正消費税法附則第5条第3項」)
(4)請負金額
(5)相手方の氏名・名称
4.請負代金の変更がある場合
(1)「指定日」以降の増額(追加工事や仕様変更等)は増額分に新税率が適用されます。
【例】平成26年4月1日施行日の経過措置
消費税額の計算
50,000,000円 × 5% = 2,500,000円
(2)H25.1.10に追加した分の消費税
10,000,000円 × 8% = 800,000円
(1)+(2)=3,300,000円
(2)最終の請負金額が当初契約の請負金額より少ない場合
最終の請負金額の全額が経過措置の適用対象となります。
参考URL
国税庁消費税室「消費税率等に関する経過措置の取扱い Q&A 」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/2191.pdf