ビゴーが見た○○(講談社学術文庫):清水勲 | 夜の旅と朝の夢

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ビゴーが見た日本人 (講談社学術文庫 (1499))/清水 勲

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今回は三冊の本『ビゴーが見た日本人』『ビゴーが見た明治ニッポン』『ビゴーが見た明治職業事情』(出版順)をまとめて紹介したいと思います。全て同じ作者、同じ文庫で内容もよく似た本ですので、分けて紹介する必要もないと思ったからです。

ビゴー、より正確にはジョルジュ・フェルディナン・ビゴー(1860‐1927)は、フランスの風刺画家で、1881年(明治14年)から1899年(明治32年)まで日本に滞在し、「トバエ」などの時局風刺雑誌を中心に風刺画や漫画などを発表していました。ビゴーの絵は、外国人特有の目で、日本人が当たり前すぎて記録などに残さなかった当時の日本風俗などを描いた作品が多く、歴史的にも価値があるとされています。

名前を知らなかった人は、「ビゴー」で検索すれば、彼の絵を見ることができますので、是非調べてみてください。ビゴーの絵は、歴史の教科書にも載せられていたりしますので、ああこの絵の人かと気づく人も多いと思います。

さて、上記の三冊は、ビゴーの絵を紹介しながら、明治の日本人の風俗や生活などを解説したもの。基本的には、左頁にビゴーの絵が掲載され、右頁と左頁の一部にその絵と、その絵から分かる風俗などが解説されています。解説のウェイトとしては、出版が若い方がビゴーの解説が多く、後の方ほど明治風俗の解説が多いような気がします。

著者のビゴーに対する思い入れは相当なもののようで、ビゴーを過大評価しすぎている気がしなくもないのですが、その辺は御愛嬌でしょうか。風俗史の本として捉えると、やや内容が薄い気もしますが、三冊とも文章だけでは伝わらないものが確かに伝えており、読んでみる価値は十分あると思います。

個人的には、ビゴーよりも明治風俗の方に興味があるので、ビゴーに関する解説の少ない『ビゴーが見た明治職業事情』が最も面白く読めました。人力車夫などの観光地でしか見られなく職業や、看護婦や警察官といった今も脈々と続く職業の初期の状況などに対するイメージも湧きます。

ちなみに、職業から風俗を読み取るという趣旨の本としては、鹿島茂の『職業別 パリ風俗』やトニー・ロビンソンの『図説「最悪」の仕事の歴史』などを読んだことがありますが、どれも面白いんですよね。この職業から風俗を読み取るという趣旨の本がもっと増えるといいのにな

ビゴーが見た明治ニッポン (講談社学術文庫)/清水 勲

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ビゴーが見た明治職業事情 (講談社学術文庫)/清水 勲

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