本格小説(下) 水村美苗  p490


“車が動き出してからもう一度振り返ると、小さな山荘は雨に閉ざされたうえに雑木と藪に隠され、わずかに黄色い光が洩れてくるだけであった”


冨美子の長い話が終わり、たまたま来た冬絵に祐介が車で送ってもらう場面。


長い長い話の舞台となった古ぼけたちっぽけな山荘が、哀愁を漂わせながら遠ざかって行く様が、何とも言えない侘しさを感じさせます。