本格小説(上) 水村美苗  p318


“祐介は電話のこちら側で口の端を寄せただけであった”


冨美子の家から、友達の久保の別荘に帰った場面。


久保は祖母の容態が悪くなったという理由で、東京に一旦帰っていた。祐介が怪我の手当てをするものを探していると、久保から電話が掛かってきた。

祖母はすっかり持ち直したという内容の電話だった。

「退院なんて話も出てるよ。まだ八十過ぎたばかりで平均寿命に行ってないからね。オソロシイことです」

という久保の言葉に、“祐介は電話のこちら側で口の端を寄せただけであった”。


あまり大きな反応もし辛い内容の話に対しての申し分程度の反応。