続 明暗 水村美苗 p168


“小林は洋傘を差し出した右手を旗を掲げるように上に挙げた”


小林がお延との話を終え、立ち去る場面。


帰るという意味を、小林がその所作で告げたことがありありと浮かんできます。

お延との話を終え、小林が立ち去るという話の前提があったので、これが「さようなら」を意味する所作と受け取ることができたのでしょう。

読者がどのように読むのかを確信していないと書けない一文ではないでしょうか?

私ならその確信が持てず、怖くてこのようには書けないと思います。


センスの凄さが出ている一文だと思ったので付箋を貼りました。