6月20日、イブのパピーが生まれました。

たった一頭だけの妊娠で、最後の最後まで気の抜けない妊娠期間と、産後の10日でした。


超大型犬の一頭のみの妊娠は、危険が伴います。遅産、ホルモン分泌が足りないことによる流産、微弱陣痛、大きくなり過ぎた胎児による難産、等々の懸念が尽きませんでした。

普通は9〜11頭も産まれる超大型犬ディアハウンド。妊娠がわかった日から、戦々恐々とした毎日を過ごしていました。英語で、一頭のみの妊娠子を、singleton puppyと言います。singleton puppy の経験のあるディアハウンドブリーダー達5人にも聞きましたが、無事、自然分娩したという例は、5例中一例だけ。二例は帝王切開、あとの二例は死産でした。

途中、エコーで胎児の心音や身体の様子を何回も確認しました。ホルモン値も週に二回。

エコーで見た胎児は尾位、人間で言うところの逆子で、何故か後ろ足が確認出来なかったのです。妊娠後期の胎動も感じられず、とても不安な日々でした。予定日が過ぎ、相変わらず逆子で動かない胎児にどんどん不安が大きくなっていきました。冷凍精子による人工授精の妊娠期間は61日から62日と言われています。63日目、私の師匠のマーチンから、強い言葉で、帝王切開をする様にと言われました。その日の胎盤維持に必要な黄体ホルモン値は4.5。体温も下がっていません。分娩が始まる1日以上前にホルモンは2以下、体温は1℃程下がります。私は帝王切開の決断はしましたが、もう少し待とうと思いました。お腹の中での1日は何にも代え難いものだと思っているから。

そして20日、ホルモン値も体温も下がり、胎児の準備が出来たと確信しました。

実は最後まで、自然分娩にこだわっていましたが、結果、帝王切開を決断しました。最後は理屈ではなく、”感覚”でした。子犬が逆子であること、後ろ足が見えないこと、予定日を大きく過ぎていること…等々ありましたが、最後はイブの不安そうな顔でした。


大変な手術になりました。子宮、子犬のちょうど足元に大きな血塊があったので、手術時間は2時間を超えました。イブが無事でありますようにと祈る、長い長い時間でした。


大手術の末、イブもパピーも無事でした。イブは長い麻酔の後、体温が中々上がらずにその後も数時間立ち上がることが出来ませんでした。


生まれたのは女の子。630gでした。パールと名付けました。

Iadore The One and Only Pearl 

唯一無二の真珠です。


主治医の先生とスタッフの方々の、技術と献身で、母子共に無事に、帰ることが出来ました。

ありがとうございますと言うのでは足りない、本当に感謝してもしきれません。




パールはスクスクと成長しています。630g だった体重も、10日で1700gになりました。

イブの術後もなんとか順調です。

また、成長過程は報告させて頂きます❤️