しばらくは、犬の出産についてと子犬達が生まれた時の話をしていきたいと思います。

イブやシェリー達が生まれたのは2019年2月10日です。

まだ、コロナもなく、穏やかな日々がありました。


2018年1月、マックスが突然亡くなりました。

あの日を思い出すのは今でも辛くて嫌です。

深い悲しみの中で、私はマックスの子どもが居たなら。と、考えたのです。実際、その予定でしたから。そして、マックスのブリーダー、マーチンにマックスの兄弟犬、フレディの精子を送ってもらうことになりました。


冷凍精子 による人工授精。

考えた事もありませんでした。悲しみに暮れる私に、マーチンが教えてくれたのです。

ただ、彼は言いました。

「これはとても難しいことだ。お金もかかる。私もしたことがない。子犬が生まれる確率は、半分以下、そして生まれたとしても1〜2頭だろう。それでも君はトライしたいのか」とー。

私は、それでもいいと懇願しました。

マーチンは、何回失敗してもいいように、4回分ものフレディの冷凍精子を送ってくれました。オーストラリアのエージェントは、日本の冷凍精子バンクを紹介してくれました。これで検疫と保存はクリアしました。それから私は冷凍精子による人工授精について、学びました。アメリカやカナダのブリーダーから話を聞き、アメリカの獣医で、実際にディアハウンドの冷凍精子による人工授精を行なっている方からも文献を送ってもらい、犬の妊娠から出産までの経過を調べて、知識を身につけようと努力しました。



しかしながら、本やネットの情報、文献は、それぞれ少しずつ違うのです。海外であっても、日本でも。それをいちいち経験豊富な複数のディアハウンドブリーダーに聞き、すり合わせをしていきました。

文献にも書いてあり、ブリーダー達の意見とも合致しているものを書き出した資料は、なんとA4  46枚になりました。

獣医監修の文献でも、全く同じものはありませんでした。ブリーダー達の話も同じです。

皆、自分の経験に基づいたデータになるからです。

なんで、どうして違うの⁉︎、どちらが正解なの⁉︎ と、当時の私は困り果てました。


今現在の私には理解できます。皆、それぞれ自分の方法なのです。ネットの情報は明らかに間違っているものもあります。たとえ獣医監修であってもです。獣医さん達は、基本的に妊娠中の犬や自然分娩にあまり経験のない方がほとんどです。ブリーダー達の情報も最新ではありません。昔から同じやり方を踏襲している方が多いのです。


犬の血液と出産


犬は犬、ディアハウンドもチワワも犬だから、全て同じだという考え方もあります。

しかし、私はそうは思いません。たしかに妊娠期間はどの犬種でも63日前後と変わりません。が、しかし、違うものも沢山あるのです。

血液データも、いくつかの項目で違います。

血中カルシウム値は全犬種の正常値より63%も低く、肝臓のALTは逆に23%高くても正常値といった具合です。

日本の獣医での血液検査の値は、全犬種の平均値に基づいているのです。私はディアハウンドしかデータを調べていませんが、犬種によって格差は必ずあると思います。

人間でも、アジア人と白人では、平熱が0.5〜1.0℃も違うのですから。

アメリカに留学していた頃、風邪をひいて、37.8℃の熱を出した時に、スクールドクターに、熱はないねと言われたことがあります。


閑話休題。

出産も犬種によっては、帝王切開でしか産めない犬種もいます。ブルドックなどがそうです。

ディアハウンドは、自然交配、出産については問題はありません。


ただ、


冷凍精子 による人工授精は、3歳くらいまででないと、成功率や子犬の数がグンと低下するという最新の研究結果を、つい最近知りました。理由は明らかではないそうです。ソフィーのここ2回の失敗は、年齢オーバーだったのかも知れません。4歳、5歳でも冷凍精子による人工授精には、遅かったのでしょう。



長くなりましたので、交配のお話は、次にいたします。