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今回は、小説『カフェ ダマンド』シリーズ⑤です。
《あらすじ》
カフェ『ダマンド』には、陽気で少し口の悪いお喋りなカサベラという絵の中の女性と物静かなマスターがお客様をお出迎え。
いろんな事情を抱えたお客様がみえていた最近、カサベラを描いた本人が現れた。
マスターと絵の中のカサベラは、動揺…。
カサベラを描いた人は、何のために来たの…??
それでは、本日もカフェ、ダマンドを覗いてみましょう。
ブルーノは、この絵の女がカサベラだということを何故マスターが知っているのかとても知りたかったけれど、
ドイツ人のブルーノは口をモゴモゴさせるばかりで、うまく日本語が出てこなかった。
それを察してかマスターは、
「彼女自身が自分の名前はカサベラだと言ったんです」
ブルーノは耳を疑った。
「………?話をした……?本当に絵の中のカサベラがそう言ったのですか??絵ですよ。」
「私も最初はとても驚いたんです。でも、本当なんです。」
ブルーノは、『なんてことだ!!この絵に娘の魂が宿ったんだ!!私は、愛する娘と話せることができる!!あー、神よ!』
そう心の中で叫び、天井を見上げ、喜びで満たされた。
そして、神に感謝した。
ブルーノはマスターに伝えた。
カサベラは自分の亡くなった娘であることを。
その話を聞いた瞬間、マスターは複雑な気持ちというより嫌な予感がした。
ブルーノが『この絵を返して欲しい』と言い出すのではないかと…。
そんな複雑なマスターの気持ちとは裏腹にブルーノは続けた。
カサベラを描いたのは、違う世界に飛び立ったカサベラがその世界でも幸せでいてほしくて描いたことを。
そして、ブルーノは、カサベラとこんなカタチで再会できるなんて…と、涙を流した。
マスターは、ブルーノの話を聞けば聞くほど暗くなっていった。
カサベラは、お店に来るお客様を驚かせ、和ませた。
そして私を厳しく叱咤しながら励ましてくれた…。
陽気で少し口の悪いカサベラがこのカフェに来てくれたお陰で、マスターは孤独と不安から解放されたのだ。
『そんな彼女がこのカフェからいなくなるかもしれない…。
また1人になる…』
マスターの予想は見事に的中した。
ブルーノはマスターに購入したときの金額を支払うからこの絵を譲って欲しい…と。
マスターは、カサベラを見ながら、何も言えずに立ちすくんでいた。
カサベラはイライラしながらマスターを見た。
痺れを切らしたカサベラが突然話し出した。
「なんで、マスターは何も言ってくれないの?!いつもそう!!ここぞというときにいつも何も言ってくれない!!私がどうなってもいいと思ってるのね!!」
カサベラの怒りは今まで見たことのないほどの激しい怒りだった。
カサベラの怒りは、なかなか静まらず、
「私は、嫌よ!私はあなたが描いた娘かもしれないけど、あなたの娘自身ではない!」
カサベラはブルーノに言い放った。
ブルーノは、失笑した。
確かにその通りだ。
ブルーノは、愛する娘に会えた喜びのあまり、周りが何も見えなくなっていた。
3人は沈黙した。
沈黙の間、各々がそれぞれの思いを整理していた。
しばらく沈黙が続いたあと、ブルーノはマスターに改めてお願いをした。
「マスター、お願いです。
1日だけでいい、カサベラとの時間を私にください。
彼女が娘でないことを理解した上でのお願いですよ。
私は、自分が描いた彼女がこのカフェで見てきた世界や感じたことを聞きたいんです…。」
マスターは、「わかりました」と了承した。
マスターは、絵をキレイな布で包み、ブルーノに渡した。
必ず早く帰ってきて、と願いを込めて。
1日では帰ってこないことくらいマスターはわかっていた。
最後までお付き合いありがとうございます🌷
次回はいよいよ最終回となります。
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