「解ってるならちゃんと聞いて。
何の為に、反魂なんて馬鹿な真似を?」
「好奇心。」
「え…?」
あまりにも短い回答に、呆気に取られる霊夢。
続きがあるものと思って期待したほどだ。
「単なる好奇心を満たすだけよ。」
「ちょっと…それじゃ…」
「誰が生き返るなんて知りもしないし、知りたいとも思わない。
私はずっと、死を司る能力を持って活動してきた。
自由に命を亡き者に出来るのであれば、その逆もまた然り。
そうであっても、別に不自然ではないでしょう?」
「そんな…そんなふざけた理由で…反魂を強行しようと?
従者に隠し事をしてまで、そんな愚かしい事を…?」
「ふふ…貴方には、解る道理が無い。
死を操る能力の本当の意味は、その力を持つ者にしか解らない…。
私は大真面目よ。この好奇心を満たす事こそが、
私自身の存在を肯定するに等しい。貴方に理解できずとも、ね。
私は、このままでは、否定の象徴なのよ。」
「解ってるんだろ? 反魂の恐ろしさを。
ただ単に、生き返るだけじゃ済まないんだぜ?」
「ええ、もちろん。問題が起きれば、また私が殺せば良い。
そっちは簡単なものよ? もう、慣れている事だしね。」
「あなた…それほどの能力を有しながら…。
そこまで命を軽視するなんて…信じられない…。」
「逆ね。力があるから、軽くなるのよ。
それに、知っている? 西行妖にも、そんな力があるそうよ。
楽しみじゃない? 満開の死を呼ぶ妖怪桜と、死を操る亡霊。
どちらがどうなると思う? かたや死んでいる、かたや植物。
少し私に分があるかしら? どう? 興味が沸いてきた?」
饒舌に話す幽々子の言葉に、2人はある種の違和感を覚えた。
「…ん? お…おい…それって…もしかして…。」
「あなた…本当に、何も疑問に思っていないの?」
「あら、疑問だから試すのよ、実際に。」
「いや、そうじゃないぜ、多分…。」
「魔理沙、いよいよ持って大事だわ。
何があっても、絶対に阻止するわよ。
この反魂、ただの反魂よりも更に、危険過ぎる!」
魔理沙は嫌な予感がする程度だったが、
霊夢には核心めいたものがあった。もちろん、勘だが。
幻想郷を大混乱に陥れるとんでもない可能性。
霊夢という者の持つ勘が、これを見逃すはずが無い。
幽々子自身も気付いていない大異変の引き金が、
桜前線と共に、西行妖に向けて近づいてきている。
霊夢は、普段から咲夜を信頼していないわけではない。
しかし、今ほど咲夜に頼った事は1度も無い。
自分と魔理沙は、既に西行妖まで春を持ち込んでしまった。
咲夜の春がここに来たら、もう手が無い。