「…そうよ。巫女の朝は早いの。だから安眠妨害しないで。
 今なんて日が短いから、日が昇る前に起きないと間に合わないのよ。」
「え…」
「まったく、封印符なんて久しぶりに使ったから、
 暫くはもっと早く起きて、札を作らないといけないし。」
「それじゃ…」
「眠気覚ましに話し相手でもいれば良いんだけどね。
 それじゃ、もう帰るわよ。もう騒がないこと。良いわね。」
一方的に話かけ、霊夢は博麗神社へと帰って行ってしまった。
「…本当に、すごい人間ですね、霊夢は。」
「博麗の巫女だしね、あれでも。」
「…どうされますか?」
「とりあえず、私も咲夜も、傷は直さないと。」
「そうですね。パチュリー様に頼んでおきますわ。」
「夜明け前に、間に合うかしら?」
「パチュリー様なら、間に合わせてくれます、必ず。
 それに、時間が間に合わないようなら、私がついています。
 それなら、間に合わない理由がありません。」
「そうね…それもそうだわ。それじゃ、帰るわよ。」
「かしこまりました。」
「…そうそう、咲夜?」
「はい?」
「食事の用意に館の掃除、食材と燃料の確認と、必要ならその買出し、
 明日は晴れるでしょうから、洗濯の準備もしておかないと。
 任せるわよ?」
「かしこまりました、お任せ下さい。…それだけで宜しいですか?」
「…夜明け前、出かけるわ。ついて来なさい。」
「…はい、喜んで。」
「心配しないで。ただの暇潰しよ。
 私にとって大切なものは、いつでも変わりないわ。」
「心得ております。暇潰しも大切な事ですわ。」
「貴方は暇を潰さないの?」
「私は、暇を作ることも潰す事も、思いのままですから。」
「そう言われるとそうね。羨ましいわ~。」
「案外疲れますよ。暇を作れば力を使いますし、
 暇を潰せば休む暇まで一緒に潰してしまう。
 そう思えば、私もたまには暇潰ししたいものですね。」
「なら、丁度良いじゃない。一緒に行くんだから。」
「レミリア様のお邪魔は出来ませんわ。」
「邪魔をするんじゃないわ。協力するのよ。」
「…努力します。」
「よろしい。楽しみだわ~。」



湖の上で漂う、薄暗い空間。中には妖怪が1人。
眠っているが、寝言を言いながら嬉しそうな表情を見せている。
まるで、激しい弾幕戦でも展開しているかのように。
その髪は、しっかりとリボンで結わえられている。

紅魔館の周囲の湖は、今日も静かだ。








発闇 ~紅と黒~      new moon