どこからか、地下で反響するようなレミリアの声が響く。
「ヴァンパイアが、蝙蝠の化身なのは知っているでしょう?
蝙蝠は、私そのものと言っても過言では無いの。
その蝙蝠の1人1人が、全て私。けれど、私は1人しかいない。
貴方に捕らえられるかしら、この姿になった私が…!」
「これは…!」
無数の蝙蝠が、それぞれ牙をむき、ルーミアに向けて襲い掛かる。
ムーンライトレイで何度もなぎ払い、蝙蝠を退けてはみるものの、
ただでさえ夥しい数の蝙蝠が襲い掛かってくる上に、
どうやら蝙蝠は、後から後から、無数に湧いて出てきている。
「なるほど…確かに、まともにやっても捕らえる事は難しいわね…。
それに、蝙蝠は闇の中でこそ力を発揮する生き物だし…。
…闇の中でこそ、か…。明度が足りないのね、打開するには。
それなら…満月:フルムーンライトレイ!」
ムーンライトレイの月光が、更に輝きを増す。
柱状だった月光は更に太くなり、どちらかと言えば扇状だ。
「昼より明るい月の光で、眠りに付くと良いわ、蝙蝠さん。」
大きな月光で、周囲をなぎ払うように身を捻るルーミア。
身体の数倍もある扇状の光を纏っているその様子は、まるで舞のようだ。
これを受け、レミリアは早々に人間の姿に戻ってしまう。
「これじゃ、相性が悪過ぎるわね…しょうがない。
紅符:ブラッディマジックスクウェア!」
スペルカード発動と共に、レミリアの周囲に紅いナイフが広がる。
レミリアの得意とする、弾幕の尾を引くスペルカードだ。
ナイフの本数、尾の密度共に、安全そうな場所をまったく残していない。
「刃物では光を突き抜けてくる…これじゃ相性が悪いかな…。」
争いは、スペルカードの発動合戦の様相を呈してきた。
スペルカード同士がぶつかり合う際、相性の良し悪しが必ず発生する。
避ける事を中心に争っている間は、スペル1つ1つが長時間持続し、
戦況が膠着しやすくなるものだが、
どちらかが相性の悪いスペルを相性の良いスペルに切り替えると、
連鎖的にお互いがスペルを変え続けるスパイラルが起きる。
こうなると、所持枚数や力容量の差が勝負の決め手になる。
これはある意味、魔力量の大きいパチュリー等が得意とする展開だ。