濃い黒のシェード越しに、窓から外をうかがうレミリア。
「今日も日差しが強い…。雲か霧でも出ていれば出かけやすいのに…。」
レミリアが部屋を出ようとすると、ベッドのきしむ音が聞こえた。
「嘘でしょ? いくらなんでも早過ぎやしない? 咲夜。」
「パチュリー様の魔法のおかげです。

 ここまで完全に治していただけるなんて…。」
「パチェは、後は本人次第、と言っていたけど…。」
「人間は、結構精神力の強い生き物なんです。
 だからこそ、執念深く、また粘り強くもあるんです。
 力はすこぶる弱いんですが…。」
「なるほどね。だから人間は、変化的で守に長ける。
 回復力も、また然り、という事ね。」
「はい。それより、不覚を取ってしまい申し訳ありませんでした。
 レミリア様の手を煩わせるような事態になってしまって…。」
「咲夜、そんな他人行儀な言い回しはやめて。
 それに、私は申し訳なく思われるようなことはされていないし、
 もしそんな事があるとしたら、もっと別の部分よ。」
「別の…ですか?」
「そうよ、咲夜。貴方はメイドである前に、館の住人なの。
 住人を守るのは、本来なら主の仕事。

 私にとって、貴方が今、どれだけ大切か解る?
 それを、考えた事がある? 気持ちは嬉しい。

 けど、必要以上に無茶はしないで。
 もっと、私に任せてくれて大丈夫だから…。」
「も…申し訳ありません…。

 今後は気をつけますので、そんな顔をなさらないで下さい。」
「まあ、咲夜の事だから、一層身を捧げて働くんでしょうね…。
 それが咲夜のいいところだし、

 私が貴方を気に入っているところでもあるから…。
 今の話は無かった事にして頂戴。」