全神経を咲夜と周囲の空間に張り巡らせ、構える。
「隙が無い、良い構えだわ…。けれど、それも無駄。
もう1つの例外、それは、有無を言わさず相手を仕留める場合!」
咲夜の手から、無数のナイフが一斉に飛び出す。
そして、美鈴の目測よりも数テンポ早く、目の前まで刃が迫る。
「速い! けど、この数でも1度避けてしまえば…!」
美鈴は側転から後転を続けざまに行い、ナイフの軌道から大きく軸をずらす。
しかし…
「え…嘘でしょ…? 何が起きているの!?」
なんと、咲夜の手を離れたナイフが軌道を変えて、美鈴の方へ飛んできている。
まるで、ナイフ自身が意思を持って美鈴を追っているかのようだ。
そればかりか、数本は回り込んで美鈴を挟み撃ちにしようかと迫っている。
「なんて攻撃…。そうか、もう相手の姿が見えないという事は、
何度か時が止まっている、という事ね、多分。
恐らく、止まっている間にナイフの軌道や位置を修正している!
それでナイフが私を追い詰めてくるのね…。」
「本当に、本当にすごいわ…。ここまで私の力を理解できるなんて…。
貴方の大きな力と、貴方自身は、あまりにも危険過ぎる…。
ますます、お嬢様に会わせる訳にはいかなくなったわ!」
更にナイフが本数を増す。美鈴の優れた運動神経が、
ギリギリのところでナイフの軌道を外し続けているが、
次第に疲れも溜まり、徐々に追い詰められていく。
何本かは身体をかすめており、服は乱れ、
切り傷が美鈴の身体に紅い印として刻まれていく。