自宅の跡地から少し離れた、森の入り口。
恐らく、戦場の最前線だった場所だろう。
美鈴はそこで、おじの姿を発見した。
「おじさん! 良かった…まだ大丈夫だった…。」
「美鈴…! こんなに大きくなっていたのか…時が経つのは早いな…。
 美鈴…おじさんも、もう長くは無い…。
 生きる者はね…本当に死と向き合うと、死期がなんとなく判ってしまう…。
 だから、手当ては要らない。お父さんを探しなさい…。
 それに、この惨事の責任はおじさんにある…助ける必要は無い…。」
「そんな些細な事、今は関係ない! 早く手当てをすれば…」
「美鈴! 新しい長になるべき立場だ…そんな事をしてはいけない!
 お父さんを見習うんだ…!」
「…!!」
美鈴は言葉に詰まる。
「よく聞くんだ。おじさんの村の軍も、相当な被害を受けている…。
 今は一度引き返して、体勢を立て直しているところだろう。
 けど、またすぐに戻ってくる。必ずここに帰ってくるはずだ。
 お母さんは、軍の捕虜として大切に預かっている。ひとまずは安全だ。
 今後、村の長としてどうするか、あまり時間は無いが、
 美鈴が自分で考えなければいけない…。苦しい道になるのは明白だ…。
 けど、どれだけ苦しくても、決して諦めてはいけない…。
 皆が預けた命を、精一杯まで使ってみるんだ…。
 結果、失敗したら仕方が無い。けど、無駄にはしてはいけない…。
 さあ、お父さんを探しに行くんだ。早く!」
「……解った。けど、おじさん…私は、必ず両方の村を救って見せるよ…。
 絶対に諦めない…。だから、しっかり見ていて。」
言い残して、想いを断ち切るように、走ってその場を去る。
「頼もしくなったな…あんな娘を持つとは…うらやましい…ものだ…。」
おじは笑顔のまま、静かに息を止めた。