深い暗闇の中、美鈴は目を覚ます。
意識がはっきりするとすぐに、地下から駆け上がり地上へ飛び出す。
その時、目に映った光景は、美鈴の脳裏、奥深くに刻み込まれる事になる。
村は焼け野原になり、多くの妖怪が倒れている。
「そんな…そんな…私は…。」
うろたえる美鈴に、かすかな声が呼びかける。生存者がいるようだ。
「美鈴ちゃん…美鈴ちゃんか…?」
「あ…大丈夫!? ひどい傷…どこかに薬や包帯は…」
「美鈴ちゃん…大丈夫…僕はもう…だめだから…。」
「何を言っているの!? 諦めないで! せっかく生き延びたのに…!」
「それよりも…長が…お父さんが向こうに…。
おじさんも近くにいるはずだから…早く…行かないと…。
急げばまだ…息があるかもしれない…だから僕の事は良いから…急ぐんだ!」
「それはできない…。私は、お父さんから村のために生きるように言われた…。
村の人が生きているなら、1人として放っておく事は出来ない!
早く治療しないと…。」
涙をぬぐいながら、自らの服を引き裂き、身体が露になるのも気にせず、
出欠の多い所から順に止血を始める。その手際は極めて迅速である。
応急処置の方法も、父から習ったものだ。
「美鈴ちゃん…」
「喋っちゃ駄目。傷が開いてしまうから…。
貴方が望むなら、止血が終わってから、一緒にお父さんを探して、ね?」
「…長に…お父さんによく似ている…。
もう少しだけ時が違えば、村はもっと豊かになっていただろうに…。
美鈴ちゃん…いや、新しい長、美鈴様…私は…美鈴様に最後に会えて…、
本当に…村一番の…幸せ物です…美鈴様…どうか…生きてください…。」
言い終えると、村人は力なく腕を下ろし、目を閉じて一気に身体を重くした。
「待って…一緒にお父さんを…長を探してくれるんでしょう!?
ねぇ…ねぇ!!」
涙をこぼし、自分を無力と感じ、思い切り地面を叩きつける。
その拳は、内も外も、村人と自分の血で朱く染まった。
「…探さないと…命を賭して私に私に教えてくれたんだ…。
絶対にお父さんとおじさんを見つけないと…。」
自分の身体を持ち上げ、村人に一礼し、その場を後にする。