レミリアは柔らかく微笑んで、静かに少女を見つめている。
また、少女の肩の力が抜け、身体が軽く、楽になる。
(私は…どうしてこんな幼い女の子に、こんな事を話しているんだろう…。
 すごく話し易いし、なんだかとても安心できる感じ…。
 それに…なんだろう、この感覚は…。とても魅力があるというか…。)
少し顔を背け、我を取り戻そうとする。
瞳には、更に少し、光が戻ってきている。
三度、少女は口を開いた。
「私は、この力があれば生きていけると思った。
 時間が止まるときの感覚を身体に覚えこませて、
 一週間で何とかコントロールできるようになった。
 同時に、もっと精度を上げるために、ナイフの練習もした。
 その後、時を止めている間に、一度だけ両親の顔を見て、地元を去った。
 親友の服と、制服だけ着替えとして持って、何処とも無く流浪した。
 衣食住の全ては、時を止めればいくらでも満たす事が出来た。
 危険を感じた時も、力とナイフがあれば何も恐くは無かった。
 そんな生活が数年続いた後、何故か私は故郷へ帰りたくなった。
 1度戻った私は、この能力の本当の恐ろしさに気付いた。
 時を止める間ばかり行動していた私は、もう少しで成人を迎える、
 というところまで成長していたのに、皆はまだ変わらず、
 逃げ出したあの日と大差無い身体で、全く同じ生活をしていた。
 周囲の時を止めるという事は、私だけ時が進んでいるという事。
 力を使えば使うほど、私は皆よりも加速して死へと近づいていく…。
 その瞬間、本当に恐いのは死ぬ事ではなく、生きられなくなる事と知った。
 周りから見れば、私は生きていても生きていないモノ同然。
 それから、私は死に場所と死に方を探すようになった。
 死を選択できるうちに、自ら死を受け入れようと思った。
 そうして彷徨っている内に、いつの間にか気を失って、
 気付いたら今、この森で目を覚まして、今の状況に至っていた。
 不思議と、貴方になら死を与えてもらえる。そんな気がした…。」