夏の香りが色濃く残る九月の中頃。
相も変わらず部屋でごろごろしている筆者のもとに、友人から一枚の画像が送られてきた。
どうやらネットに落ちていた画像らしい。
たびたび友人はこういった画像を私のもとに送ってくるのだが、大抵の場合は筆者がスルーすることもあり、特にメッセージを添えるわけでもなく画像を送ってくるだけで終わってしまう。
だが、今回は少し違った。
何が違ったかというと、画像にメッセージを添えて送ってきたのだ。
「本つゆの匂いのする女性って家庭的で魅力的だよね」
うそだ。
友人によれば、本つゆの匂いが体に染み込むぐらい料理を頑張っている、という理由から家庭的だと思うらしい。
確かに、家庭的という要素の中に「料理が得意」ということは一般的見解として間違っているわけではない。しかし、本つゆの香りのする女性が魅力的かどうかは別問題である。
いや、そこだけじゃなくてそもそも本つゆを体にぶっかけている可能性もあるわけだから料理を頑張っているとは限らない。さらに私の友人は
「好きな人から本つゆの香りがしたらたまらないよね?」
たまらねぇよ。
好きな人から本つゆの香りがしたらたまったもんじゃねえよ。
もし好きな人から本つゆの香りがしたら、私の中で大切に育ててきた想いが音を立てて崩れるだろう。読者も想像してほしい。ほのかに香るダシのきいた香ばしい香り。その香りのもとを辿ってみれば、そこには愛しいあの人が、、、
間違ってもそこにいてほしくない。
友人は最後に
「ヒサナミスヤオ」(*)
*友人が会話の最後にいつも使う言葉である。普通の人は逆にして使うだろう
と言い放ち去っていった。
後日談だが、筆者のアルバイト先にそれはお美しい大学生の先輩がいるのだが、先の話を思い出しあろうことかその先輩の前で吹き出しそうになってしまった。本つゆの香りがしたら、、、などと想像しているわけだからとんだ変態だ。