やあ、ざわえもんです。今回は運動と脳の関係性について⑪の続きです。先ずスタンフォード大学の研究では、歩きながら創造性を計測するテストをした被験者達は、テストの成績が平均で約60%上昇したという結果になっています。そして創造性を増すのに、歩いた場所は殆ど関係がないという事が示唆されており、この実験では大学のキャンパス内を歩いた者、屋内でトレッドミルの上を歩いた者等の様々な条件で創造性を計測するテストを被験者達は行ったのですが、どの条件でも運動をすると創造性は増す傾向にあるという結果になっており、車椅子でキャンパス内を徘徊した被験者と、キャンパス内を歩いた被験者を比較したところ、歩いた被験者の方が創造性テストの成績が良い傾向にあり、運動をした後は大抵の場合カテコールアミンやエンドルフィン等の幸福物質が分泌される為、気分が改善する傾向にあるのですが、この実験では運動後に殆ど気分が改善されなかった被験者さえも創造性が向上したという結果になっています。つまり、運動によって気分が改善された為に創造性が上がったというよりも、運動によって気分が改善されなくても創造性が上がるという事が示唆されており、環境よりも創造性を向上させるという点に置いては運動の方が影響が大きいと推測する事が出来ます。加えてスタンフォード大学の研究チームのコメントによれば、「断言は出来ないが、創造性が増す為に最適な運動はウォーキングよりもランニングの方が良く、約30分以上のランニングと同程度の運動も同様に創造性の向上に効果的である」、こう研究チームはコメントしているのですが、残念ながら運動による創造性の向上の維持時間というのは約1時間~数時間とされており、全力を出し切るほどの高負荷の運動は創造性の向上効果は期待出来ないとされ、何故運動による創造性の効果が数時間ほどで消えてしまうのかは未だ明確にはなっていませんが、先ず運動をすると脳への血液や栄養素等の供給量が向上し、認知機能及び創造性等が向上するのですが、高負荷の運動をすると反って血液が全身の筋肉に流れ、脳への血液の供給量が減ってしまうので、創造性及び認知機能等を高めたい場合は中強度の運動の方がベターと言えます。ちなみに激しい運動をした後に脳のパフォーマンスは一時的に低下するとされているのですが、基本的にその状態が長期間継続する事はないとされています。また、この運動による創造性及び認知機能の向上というのは健康度と比例しているとされており、不健康な人の運動による脳機能の改善度は健康な人と比べて低下してしまうというデータもあるので、皆さんも健康的に生きた方が得しまっせw また、良質なアイデアを思い付く為にはアイデアの量と質のどちらが重要なのかを調べた実験では、アイデアは思い付く量が多ければ多いほど良質なアイデアに出会える確率が高まり、良質なアイデアに出会うには質より量の方が重要であるケースが多いと報告されています。ちなみに、脳内で様々な情報が大量に占領するという現象は統合失調症の症状の1つとしても当てはまっており、脳の中心辺りに存在する視床という部位が、脳にインプットされた情報のフィルターの役割をしており、視床が適切に働く為には視床内にあるドーパミンの量が適正でないといけないのですが、スウェーデンのカロリンスカ研究所の教授であるフレドリック・ウレーン教授の研究によりますと、拡散的思考のレベルを測定するテストで好成績を収めた被験者ほど、視床内のドーパミン受容体の量が少なく、ドーパミンの値が適切ではなかったという結果になっており、この実験結果から考察出来るのが、拡散的思考能力が高い人の視床のフィルターは平均的な人よりも多く情報を脳内に通過させ、その結果創造性が増しているという事が考えられており、統合失調症の患者を対象にした実験でも同様に視床のドーパミン受容体の量が少ないという結果になっており、創造性が高い人と精神疾患患者の大きな違いとしては、脳内のドーパミン受容体の量よりも、単純に脳機能が適切に働いてるか働いてないかの違いと言えそうです。また、遺伝子と環境の主な二大要因が相互作用を発生させる事で、人間の将来が左右されるのは論旨明快ですが、人間の身体の中にある遺伝子は約2万3000個とされており、これらの遺伝子に環境が持つ非常に複雑な生物学的メカニズムが踏襲されるのですが、以前にもご紹介した様に人間は平均で約37兆2000億個の細胞で構成され、脳細胞だけでも約1000億個以上、シナプスは1つの細胞間に約1万個以上、身体にある総シナプス数は約100兆~約250兆個と推測されており、約2万3000個の遺伝子だけではこの約100兆個以上もの細胞同士の繋がりをコントロールする事は極めて困難であり、経験や生活習慣や免疫や新生細胞等の外的要因によって生存に適した人間が生まれるという訳です。ちなみに環境の中で最も遺伝子や脳細胞等に良い影響を与える行動というのが、再三に渡り申し上げている様に運動であり、アメリカの研究チームが小学3年生と5年生の計250名を対象にした調査では、心配機能と筋力と敏捷性を計測したところ、体力のある児童の方が学業成績が良い傾向にあり、算数と読解の能力を計測するテストにおいても高得点を記録したという結果になったのですが、肥満体型である児童ほどテストの得点が低い傾向にあり、運動不足や過度なジャンクフードの摂取等が原因の肥満というのは、健康だけでなく知力にも悪影響を及ぼしてしまうという結果となっています。加えて、アメリカのネブラスカ州の約1万人近くの子供達を対象にした調査でも、先述の調査と同様の結果が得られたという結果になり、10歳児を対象に核磁気共鳴画像法で脳を検査したところ、体力のある子供達ほど海馬が大きい傾向にあり、学力試験の難易度が上がる毎に、体力のある子供と体力のない子供のテストの得点の差が大きくなるという事も報告されています。じゃああれなんすかねw 記憶力の元世界記録保持者であるイギリス人のベン・ブリットモア氏は、シャッフルされた52枚のトランプの順番を26.38秒で覚えられたそうですが、海馬がでかすぎワロタな人だったんですかねw まぁ純粋な記憶テクニックもあるだろうけどw ちなみに運動以外に食事も脳に与える影響が大きく、ニューヨークの学生100万人を対象とした調査では、日頃から保存料や合成着色料を含まない昼食を摂取している学生は、日頃から保存料や合成着色料を含む昼食を摂取する学生と比べ、知能指数を計測するテストのスコアが14%高く、また別の研究によりますと、週に1度以上シーフードを食べる人々は、その他の人々と比べて認知症の発症率が30%低いという結果になっているので、高脂肪食品や高糖質食品等の摂取は極力控え、海鮮や野菜等を適度に摂取する事をお勧めします。ちなみに、もちろん個体差によって差違はありますが、脳科学において定説とされているのが、男性は主に論理や言語等を司る左脳で情報を処理し、女性は右脳と左脳の両側を同時に使う傾向にあるとされており、女性の脳は男性の脳と比べ感情を司る大脳辺縁系が大きく、男性の脳では数学的能力を司る下頭頂小葉が大きい傾向にあるとされており、感情のコントロール能力は基本的に女性の方が高い傾向にあるようですw まぁヒステリックとか短気の人等を除いてねw また、イギリスのエジンバラ大学の研究チームの子供時代の知能指数のスコアが高いほど、心臓病や脳卒中、がん等の死亡率が低くなるという論文が、2017年6月28日の英国医師会誌ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載され、研究チームは知能指数が高い子供ほど、心臓病や脳卒中の死亡率が平均で約20%以上減少したという事を報告しており、1936年にイングランドで生まれた男性3万3536人、女性3万2229人の計6万5765人を対象に、11歳の時に受けた知能検査の結果と死亡率との関連性を逐一記録し、2015年までの0歳から79歳までの79年間を追跡調査し、11歳時の知能検査のスコアは、より正確になる様に偏差値に変換し、総被験者の知能指数の偏差値はトップからボトムまでの差が15ポイントあり、研究チームは被験者達の偏差値が1ポイント上がる、もしくは下がる毎に総死亡リスクがどの様に変化するのかを分析したところ、知能指数が上位の人は下位の人に比べ、呼吸器疾患の死亡リスクが28%、心臓病が25%、脳卒中が24%、消化器疾患が18%低く、癌の死亡リスクは、知能指数が上位の人は下位の人に比べ、肺がんが25%、胃がんが23%、膀胱がんが19%、食道がんが15%、肝臓がんが11%、血液がんが9%低く、喫煙習慣が最もこれらの疾患に影響を与えるという事が示唆されており、知能指数が高い人ほど喫煙率が低い傾向にあるという事も報告されています。ちなみにあくまでも傾向ですので、喫煙者全てが知能指数が低いという事を言っている訳ではありませんw ちなみに乳がんや前立腺がん、すい臓がん等の癌と喫煙習慣に大きな関連性はなかったという結果になっています。そして認知症関連死と自死のリスクは知能指数が上位の人は下位の人に比べて約30%ほど減少し、特に認知症の点においては知能指数の偏差値が1ポイント上がる毎に、男性は約10%ずつ、女性では24%ずつ死亡リスクが減少し、事故等の怪我による死亡リスクも知能指数が上位の人は下位の人に比べ、平均で約19%低いという結果になり、全体的に女性の方が男性よりも些か知能指数の高さによる恩恵が多かったそうです。また、この実験の結果から知能指数の低い子供達ほど労働現場の健康被害による影響を受けやすい事が指摘されており、様々な研究でも知能指数の高さと学業成績の高さは比例している事が報告され、子供時代の学業成績が良い人ほど、その後の社会的地位や生活環境の向上が保障されやすくなり、知能指数の高い人ほど教育水準が高く、健康知識が豊富であり、職場環境も良好である事が多いが故に、喫煙率やアルコールの摂取量が少ない傾向にあるという事が指摘されています。また、2020年にアメリカの生物学者であるチャールズ・マレー氏の著書である「人間の多様性: ジェンダー、人種、階級の生物学」という本の中で、人間の各要素の遺伝率というのが記されており、それらは下記に記載します。

人間の各性格と遺伝率↓

1.モチベーション→57% 
2.集中力→44%
3.記憶力→45%
4.計算能力→56%
5.認知能力→55%
6.言語能力→46%
7.学歴→50%
8.職歴&採用率→37%
9.親密な関係→35%
10.家族関係→28%
11.カジュアルな社会関係→32%
12.子育ての問題→27%
13.基礎的な人間関係→30%
14.健康への気遣い→44%
15.宗教とスピリチュアル→36%
16.パーソナリティ障害→44%
17.感情の不安定性→35%
18.行動障害→48%
19.アルコール依存→44%
20.薬物依存→46%
21.繰り返す抑鬱障害→52%
22.その他の不安障害→42%
23.恐怖不安障害→45%
24.摂食障害→38%
25.多動障害→68%
26.思春期の感情及び行動障害→64%
27.幼児期に始まる感情障害→43%
28.ストレスと適応障害→33%
29.慢性的な睡眠障害→45%
30.強迫神経症→46%
31.情緒障害→63%
32.広範囲の発達障害→70%
33.双極性障害→68%

また、これら要素に対して親から受ける影響というのは平均で0~約40%以上である一方、これらの要素に対して親以外の友人や恋人等から受ける影響というのは平均で約20%~約70%と、各要素に対しては親よりも友人や恋人等から受ける影響の方が大きい傾向にあるのじゃw まぁ何か壁にぶつかったら時には遺伝のせいにするのも気分の改善に効果的かもねw それでは次回に続くw ご視聴サーオルン。

参考文献↓

「運動脳」

著者 アンデシュ・ハンセン氏

訳者 御舩 由美子氏

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