やぁ、ざわです。今回は運動と脳の関係性について⑩の続きです。先ずは運動や低カロリーの食事、プレーンチョコレート等に含まれる様々な植物性ポリフェノールの一種であるフラボノイドは脳細胞の新生を促す効果があるとされています。まぁフラボノイドとは大豆イソフラボンやアントシアニンやカテキン等の事を主に指しており、ポリフェノールは現在までに約5000~8000種類以上確認されており、フラボノイドは約4000種類以上あるとの事です。しかしストレスや睡眠不足、過度の飲酒や高脂肪の食事、バターやチーズ等に多く含まれる飽和脂肪酸の過度な摂取等によって新生された細胞は減少してしまうという事が報告されていますので、皆さんも上記の過度な行動や食事等をするのはなるべく控えた方が懸命かもしれません。また、記憶というのは脳全体の部位に転送されますが、やはり以前にも申し上げた様に記憶にも種類があり、高次脳機能と呼ばれる前頭葉と海馬には主に短期記憶を司るワーキングメモリーが保管されます。ちなみにワーキングメモリーのメカニズムについてですが、イギリスのヨーク大学の心理学教授であるアラン・デイヴィッド・バドリー氏と、イギリスのランカスター大学の心理学教授であるグラハム・ヒッチ氏が1974年にワーキングメモリーのメカニズムのついてのモデルを提唱した事が発端であり、このモデルは司令塔的な存在である中央実行形と3つの種類の情報によって成り立っており、その3つの情報というのが、音韻ループ(言語性ワーキングメモリー)、視空間スケッチパッド(非言語性ワーキングメモリー)、エピソードバッファ(視覚情報や聴覚情報等を統合して長期記憶と照合したりワーキングメモリーと長期記憶を繋ぐ橋の様な存在)です。そしてこれら3つの情報は全て短期記憶であり、音韻ループは数や単語や文章等の記憶で約2秒ほど保持されて脳内で言語を繰り返したりする役割があり、視空間スケッチパッドは位置情報や絵やイメージ等の記憶で、エピソードバッファは、映像に音を付け加えたり長期記憶から関連する情報を取り出して音や映像等と統合する等の働きがあります。そして最後にその各短期記憶の情報が統合されると、司令塔と呼ばれる中央実行形が統合された情報をコントロールしたり処理する等の役割を担います。また、主に過去にした出来事に関するエピソード記憶が脳の側頭葉に保管され、視覚情報は主に後頭葉にある視覚野に保管される等ですが、運動をすると運動の種類によって影響を受ける脳の領域が異なるという事が確認されており、筋力トレーニングよりもランニングの方が暗記能力が上がる傾向にあり、記憶の一部から別の記憶を思い出す等の連想記憶能力を高める為には筋力トレーニングが効果的とされています。また、財布をどこに置いたか等のエピソード記憶はランニング等の有酸素運動と筋力トレーニング等の無酸素運動の両方が効果的とされています。ちなみに未来の予定や出来事に関する記憶は展望的記憶と呼ばれています。加えて、グーグルで認知トレーニングと検索すると約1000万件以上がヒットし、世界中の人々が脳機能を高めたいと切望している事が伺い知る事が出来る上に、脳の認知トレーニングに関するコンピューターゲームの売り上げは年間で約100億ドル以上にも上るとされています。まぁ日本円だと現在の価値で約1兆4771億8500万円位なのですが、アメリカのスタンフォード大学とドイツのマックスプランク研究所の合同研究により、世界の著名な神経科学者と心理学者計70名を中心に、コンピューターゲームは本当に認知機能を高める効果があるのかを調査した実験の結果、コンピューターゲームはすればするほどゲーム自体は上手くなる事が確認されましたが、コンピューターゲームをする事によって知能レベルや集中力や創造性や記憶力等の向上は殆ど確認されないという結果になっています。ちなみに知性を上げる金字塔とも言えるクロスワードパズル等も認知機能を高める効果は期待出来ないという結果になり、やはり様々な運動をする方が認知機能を上げるのに適しており、記憶力が最も上がるのは運動をしてから1日から数日後とされていますので、記憶力を上げたいなら運動をしましょうw また、基本的に人の記憶は脳細胞の集まりで形成されており、脳細胞同士はシナプスという物質が1つの細胞の間に数万個あり、体内にあるシナプスの数は約100兆~150兆個と推測されていますが、1906年にノーベル生理学・医学賞を受賞したサンティアゴ・ラモン・イ・カハル氏によりますと、「細胞同士は実際に触れていなくとも、手を繋いでいる」、こう表現している通り、人の脳内はクアラルンプールのショッピングモール並みに複雑な様です。また、新しい情報が脳内に入れば新しい脳細胞の繋がりが出来るのですが、その情報に繰り返し触れれば触れるほど細胞間の繋がりは強化されます。まぁ反復は記憶の母ということわざもこの原理に則ったものである事が予測出来ますよねw ちなみにもっと詳しく言えばニューロン発火という現象が関係しており、ニューロンが電気信号を発すると発火という名の一種の興奮状態になり、ニューロン発火した細胞同士は結合するのですが、細胞同士の繋がりというのは何回も同じ情報に触れ続ける事で強化されなければ、徐々に細胞間の繋がりが衰退し、最終的には細胞間の繋がりは途切れるとされます。これが記憶を忘れるメカニズムなのかもしれませんねw しかし例外が存在するとされており、皆さんにも一回しか経験した事がないのに強烈に残っている記憶があるのではないでしょうか? 例えば九死に一生を得る体験ですとかねw また、人の脳というのは左脳がアクセルの役割、右脳がブレーキの役割をしており、生存に有利な情報を優先して収集するという性質があります。ちなみに左脳が活性化すると人は怒りの感情が増す傾向にあり、右脳が活性化すると怒りの感情が減る傾向にありますので、怒りの感情に支配されそうになったら右脳と繋がっている左半身に力を入れて右脳を活性化させれば怒りに支配される確率は大きく減ります。また、人の怒りはアドレナリンと交感神経が優位になるのが主な原因であり、アドレナリンの分泌は6秒でピークを迎え、40秒ほど経つと半減するとされているので、怒りを感じたら5分位は待ってみてくださいw まぁ話が脱線しましたが、この運動をテーマとした投稿で何度も言っている様に、運動をすると主に記憶を司る海馬から脳由来神経栄養因子が分泌され、細胞間の繋がりが強化されて記憶力が上がりますので、運動は脳にとって最高のエイドステーションと言えますねw ちなみに運動をすると創造性も上がるという事が示唆されており、アルベルト・アインシュタインは自転車を漕いでいる最中に相対性理論を思い付いた事で知られ、40代になる頃に完全に聴力を失ったドイツの作曲家であるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベン氏も、革新的なアイデアを得る為に日中の散歩を習慣にしており、聴力を完全に失ってからも交響曲を3つ創作しています。また、種の起源という自身の著作にて進化論を提唱したダーウィン氏も、ダウン・ハウスと呼ばれるダーウィン氏とその家族が住んでいた屋敷の周りの散歩道があり、その散歩道をダーウィン氏は思索の小道と呼んでおり、進化論も思索の小道を何時間も歩き回っていた最中に発見したとされています。また、2011年10月5日に亡くなったアップルの共同創業者兼最高経営責任者であるスティーブ・ジョブス氏も、歩きながら会議をしていた事で知られており、フェイスブックの創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏や、ツイッターの創業者であるジャック・ドーシー氏らもジョブズ氏のウォーキング・ミーティングを採用したのも有名な話です。そもそも創造性とはという話についてですが、斬新さと意義を兼ね備えている思考力を主に指しています。また、思考については収束的思考と発散的思考の主に2種類に分かれており、これはアメリカの心理学者であるジョイ・ギルフォード氏によって1967年に提唱された理論ですが、2018年のハーバード大学の脳科学研究者であるロジャー・ビーティー氏らの提唱したモデルでは、脳は仲介役を果たすサライアンス・ネットワークと、主に創造性等の拡散的思考を司るデフォルト・モード・ネットワーク、それと対局の集中力等の収束的思考を司るエグゼクティブ・コントロール・ネットワークの3つのネットワークで脳は成り立っているというトリプルネットワーク理論を主張しており、平均的な人であればこれら3つのネットワークを切り替えながら生活しているとされているのですが、ビーティー氏らの研究では創造性が高い傾向にある人はこの3つの脳内ネットワークを同時に使える性質がある事が明らかにされており、デフォルト・モード・ネットワークは主に前頭前皮質背内側部及び後帯状皮質が活性化する事で起動し、エグゼクティブ・コントロール・ネットワークは主に前頭前皮質背外側部及び後頭頂皮質が活性化する事で起動し、創造性が知能の一部であるという主張もありますが、基本的に創造性と知能は対局にあるとされており、それら2つの脳内ネットワークは前帯状皮質及び島皮質と呼ばれる部位が活性化すると起動するサライアンス・ネットワークによって切り替えられます。ちなみに創造性と知能の主な特徴を下記に記載します。

創造性(デフォルト・モード・ネットワーク)↓

・潜在意識
・直感的
・偶発的
・不確実性のある物事への興味
・本質的意欲
・新規性
・拡散的思考

知能(エグゼクティブ・コントロール・ネットワーク)↓

・顕在意識
・論理的
・意図的
・確実性のある物事への興味
・外発的意欲
・最適化
・収束的思考

この創造性と知能がシナジーすると創造的思考力に繋がります。シナジーとは相互作用の事ですが、敢えて専門的な単語を使ったお^^ また、平均的な人間では1日の約30~50%は拡散的思考を行っており、近年の研究ではこの2つの脳内ネットワークのバランスが崩れると鬱病等の精神疾患の発症リスクが上がると報告されており、2019年の論文によりますと、日頃から拡散的思考等を司るデフォルト・モード・ネットワークが起動している時間が長い人ほど脳疲労が慢性化している傾向にあるとされています。加えて拡散的思考力を測るテストとして代表的なものが、用途の代案課題と呼ばれるテストであり、有名なロウソク問題もこれに当てはまります。また、収束的思考と拡散的思考は前者の方が脳への負担が大きいとされているのですが、拡散的思考になると様々な考えが脳内を錯綜し、拡散的思考のスイッチが一度押されるとネガティブな思考も同時に多く脳内に浮かび、集中する方が脳への負担が大きいのですが、それ以上に拡散的思考によってネガティブな思考に囚われる方がより脳への負担が大きくなり、結果的に鬱病等になってしまうというメカニズムですので、皆さんも精神的に落ち込んだら何でも良いので何かに集中してエグゼクティブ・コントロール・ネットワークを起動して生活の質を上げる事をお勧めしますw 最後に運動によって創造性が上がるという事を示したスタンフォード大学の176名の被験者を対象にした実験をご紹介します。これは被験者全員に数種類の創造性を測るテストを行う様に指示し、その際に屋内や屋外で歩いたり座ったりと言った様々な条件下でテストを受けさせたところ、歩きながらテストを受けた被験者の5人に4人の割合で創造性を測るテストで好成績を残しており、ブレインストーミング等の能力の観点では、歩かずにテストを受けた被験者よりも平均で約60%成績が良かったという事が報告されていますが、収束的思考能力の向上は殆ど確認されず、研究チームは創造性を上げたい場合は運動しかないとコメントしています。皆もアイデアに煮詰まったら運動しなされw ほなまたなw ご視聴カームオン

参考文献↓

「運動脳」

著者 アンデシュ・ハンセン氏

訳者 御舩 由美子氏

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