やぁ、なんか起きちゃったざわえもんです。今回は運のメカニズムについて②の続きです。先ず古代ローマ帝国の哲学者であるルキウス・アンナエウス・セネカ氏は、「幸運は準備と機会が出会った時に起こるものだ」、こう述べています。また、アメリカの発明王と称されるトーマス・エジソン氏も、「幸運はチャンスと機会が一致した時に実現する」、これらはどちらも準備の重要性を説いた格言です。しかし、準備と一緒くたにされても良く分かりませんよねw そこでそんな準備の大まかなステップを4つに分けてご紹介します。先ず1つ目が、「行動量と多様性の2つのスキルを伸ばす作業から着手し、良い偶然を引き寄せる確率を上げる」、そして2つ目が、「良い偶然を察知出来る様に注意深く観察を続ける」、3つ目が、「行動の量だけでなく質も担保し、自分の人生に長期的に役立つスキルを複数養う」、そして最後の4つ目が、「失敗をネガティブなものとして捉えず、常にトライアンドエラーを繰り返す」、これらが幸運を引き寄せる為の主な4つのステップです。加えてアメリカのスタンフォード大学の教育心理学者であるジョン・クランボルツ氏が成功者のビジネスキャリアを調査した研究では、成功者の人生におけるターニングポイントの8割は偶然が関与していると報告しています。つまり成功の約80%は偶然であると結論付けられたという事です。しかし僕を含めて一般人が努力したところで、約20%の確率でチャンスを掴めるかというのは甚だ疑問ではありますが、この疑問に対して逆に天才が成功する因子は何なのかを調べた実験をご紹介します。これは2021年にアメリカのウィスコンシン大学の研究チームが、天才と成功の関係性について調べた無数にある論文から13件を厳選し、約8000人分のデータをメタ分析しています。ちなみに世間一般の天才の定義と言いますと、同世代の人間よりも知性が突出した存在の事を示唆しており、数学的能力や語彙力、加えて想像力や記憶力等の知性に関する全ての能力を研究チームは調査の対象としています。まぁ端的に言えば天才は同年代の人よりも頭が良い人の事ですw そのままやw そしてこの約8000人分のデータから、全ての天才に共通する特徴が何かを分析したところ、それは開放性の高さ、つまり新しい物事を受け入れたり好奇心を持つ人は総じて天才と呼ばれる傾向にあると結論付けられたという事です。つまり天才とは、何にでも興味を持つ謂わば変態の事を指しますw ちなみに好奇心には理解や知識を吸収したいとする「知的好奇心」、多種多様な物を知りたいとする「拡散的好奇心」、他人の感情や思考について知りたいとする「共感的好奇心」、これら3つが好奇心の主な種類とされています。また、好奇心には様々な新しい物事を知ったり理解したいとする拡散的好奇心と、特定の既知の物事を知ったり理解したいとする特殊好奇心があるとし、この2つの好奇心が強い人には以下の特徴があるとされています。

拡散的好奇心&特殊好奇心が強い人の主な心理的特徴↓

・探求心が高い。
・論理的思考が得意である。
・客観的な情報を優先して収集する。
・集中力が高い。
・勉強に対して比較的好意を持っている。
・楽観的な傾向にある。

ちなみにですが、好奇心のバロメーターである開放性が高い人というのは、身体的にも健康な傾向にあるという事が各機関の論文によって明らかになっています。例えば論文検索エンジンである「PubMed」にて掲載された、1996年にスワン教授とカーメル教授の60~80歳、平均年齢70.6歳のアメリカ人男女1168人を5年間追跡調査した論文によりますと、満点を5ポイントとし、ガンや年齢による死亡リスクを測定したところ、癌による死亡リスクは2.94ポイント、年齢による死亡リスクは1.05ポイントとなっており、開放性が高いと診断された人は死亡リスクが-0.71ポイントという結果になっています。つまりこのデータが何を意味するかというと、開放性が高い人の死亡リスクが-0.71ポイントですので、開放性が高い人ほど運動や健康等にも興味を持つ傾向にあるため、死亡リスクが0.71ポイントほど下がるという事です。まぁ簡単に言えばこれを100倍にすると、癌による死亡リスクは294%上がり、年齢による死亡リスクは105%上がり、開放性が高い人は71%死亡リスクが減ったと考えてもらって多分大丈夫だと思いますw 英語の論文なので多少の差違はあるでしょうがw まぁ話を天才と成功の関係性について戻しますが、良く天才ほど精神を病んでいて、どこかおかしいというイメージを持つ方が多いのではないでしょうかw しかしこのウィスコンシン大学が約8000人分のデータをメタ分析したところ、人付き合いが好きであったり不安になりやすいといった性格は、天才とは殆ど関係が無いという結果になっています。まぁ要は好奇心が弱くても鍛えればいつかは天才になれる確率が高いという事です。正直天才とかに拘らなくても良いと思いますが、やっぱり一度は天才の思考に到達してみたいですよねw 例えばシュールレアリスムを代表するスペインの天才芸術家としても知られるサルバドール・ダリ氏は非常に好奇心旺盛であったとされています。ダリ氏は画家としてキャリアをスタートさせ、画家の他にもホラー映画である「アンダルシアの犬」や、ディズニーとタッグを組んだ7分の短編アニメーションの「デスティーノ」、また映画だけに飽き足らず貴族の鬱屈とした気持ちを書いた長編小説の「隠された顔」、その他にも建築や家具や宝飾のデザイン、チュッパチャップスのロゴデザインや科学者を集めて議論を重ねるイベントも開催する等と、非常に多くの物事に興味を持つ天才でした。そんなダリ氏の言葉で、「大切なのはカオスを拡大させる事、カオスを消しさるべからず」、こう述べている通り、とにかく日常に潜む疑問を大事にしましょう。加えて、アリゾナ州立大学等が、米国の上場企業1500社の社長を約4500人をピックアップし、2つのグループに分類した実験をご紹介します。その2つのグループというのが、

①ジェネラリスト↓
過去に複数の業界や企業に挑戦してきた社長。

②スペシャリスト↓
特定の業界や企業だけで経験を積んだ社長。

そしてこれら2つのグループのどちらが会社での業績が高いかを比較したところ、全体的にジェネラリストの社長の方が会社の業績が高い傾向にあるという結果になっています。具体的な数値ですと、ジェネラリストの方がスペシャリストよりも平均で年商が約19%高く、日本円ですと一億2000万円位の差があるという計算になります。やはりこの結果でもある通り、過去に複数の物事に挑戦した人物というのは多種多様な経験をし、豊富な知識やスキルを身に付ける事が出来るので、自分の得手不得手が何かを識別する能力が培われ、才能が発揮されやすい事が主な要因とされています。また、アメリカの南カリフォルニア大学の調査でも内部で昇進した社長よりも外部で多彩な経験をした社長を採用した方が、会社の業績が高い傾向にあると報告していますし、富裕層から資金提供をして投資をするヘッジファンドによって総資産が1兆円を越えたアメリカの実業家であるジェームズ・シモンズ氏は、ビジネス経験が皆無であったため周囲に失敗するだろうと打診されていたのですが、シモンズ氏はビジネスの専門家を雇うのではなく、物理学者や数学者や天文学者や言語学者といった様々な業種の専門家を雇い、独自のビジネス運用モデルを作りあげる事が出来たお陰で、17年で総資産は約6600万ドルから約100億ドルに増え、投資では利益が10%出れば良しとされているのですが、シモンズ氏は年間利益が破格の平均39%となっており、やはり1つの経験を継続するよりも複数の経験を積んでスキルを磨いた方が成果に繋がりやすいのは間違いないと言っても良いと思います。そんなシモンズ氏は、「独創的な事をするべきだ、群れを追ってはいけない、そして最大のルールは常に幸福を願うこと、それが一番大切である」、こう述べています。深いですよねw つまり真の天才とは真の冒険者だという事ですw また、人というのは上手くいっていると錯覚するだけで仕事や日常、加えて好奇心までも成長する事が可能になるとされています。別にスピリチュアルな話ではありませんw そして誰しもが憧れの人を持ち、その人をロールモデルとして真似をした経験が1度はあるかと思いますが、アメリカの南メソジスト大学の心理学教授であるネイサン・ハドソン氏らが複数の大学に通う400人以上の大学生を集め、自分の性格で変えたいところを考えてみてくださいと大学生達に指示し、研究チームが事前に用意したリストがあり、自分がなりたい性格になる為のリストを週に1~4ずつこなす様に協力をお願いしたという実験があります。このリストとは、例えば社交的な性格になりたい人には初対面の人に挨拶をしたり昔の友達に急に連絡するといったリスト、陽気な性格になりたい人は友人に心配事を相談したり不安を吐露すると言ったリストをこなしてもらったという事です。そしてそれを4ヶ月間継続して観察したところ、全体的に理想の性格になれるような行動をした大学生ほど、実験後の性格が理想の性格に近付く傾向にあったと報告されています。つまり開放性が高い人になりたかったら、とにかく先ず様々な事に興味を持ってトライすると、早い人では数ヵ月後には開放性が高い人になっているという事です。しかしですね、人には反新奇バイアスという認知の歪みがあり、無意識の内に未知の体験や情報に嫌悪感を抱く傾向にあるという事が確認されています。例えば読んだ事のない本とか映画とかねw そんな事ねぇよと思う方もいるかと思いますが、これは実際に心理学者のジェニファー・ミューラー氏が200人以上の男女を対象とした実験でも明らかになっており、従来の靴とは違った独創的な特徴を持つ靴の評価をする様に被験者達に指示し、潜在連合テストと呼ばれる無意識の偏見を調べる為のテストを使って被験者達の反新奇バイアスを測定したところ、全ての参加者は新しい事は積極的に取り入れたい、斬新な発想は素晴らしいと口では述べているのにも関わらず、潜在連合テストではオリジナリティに対して嘔吐、毒、苦痛等のネガティブなワードと結び付けており、創造的なアイデアは役に立つと述べていても、潜在連合テストでは新しい発明等は現実において無意味だと無意識に思っている、この様な結果になっています。つまり殆どの人間は口ではオリジナリティや創造性は大事だと言っていても、それらに対して潜在的にネガティブなイメージを持っている傾向にあるという事です。この原因としてミューラー氏曰く、「人間は新しい発想や行動には不確実性が伴うと考える傾向にあり、損失回避の法則が働き、新しい行動や発想は社会から拒絶されてしまうのではないかと無意識に恐怖している為である」、この様に述べています。つまり人は嫌われても良いと言いながら、本当は嫌われたくないという事ですw またある研究では、アンケートでオリジナリティは教育において重要であると回答した教師は、実際には好奇心旺盛な生徒を嫌がる傾向にあるという事が報告されていたり、複数の企業を調査した研究においても、創造性や挑戦は大事であると部下に指導していた会社でも、実際には経営陣が部下の出す発案に乗り気ではなかったりしたという報告があります。つまり人は未知の体験や情報を避ける傾向にあるという事です。また、19世紀のイギリスの政治家であるベンジャミン・ディズレーリ氏の言葉で、「新しい行動は必ずしも幸福を持たらすとは限らないが、新しい行動のないところに幸福は訪れない」、この様に述べている通り、幸福と好奇心はセットであるという事を皆さんにも覚えて頂けたら幸いですw それでは眠いので寝るおw 次回に続くw ご視聴メルシーw

参考文献↓

「運の方程式」

著者 鈴木佑

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