勤務地が今の場所に移転したのはもう10年以上前。
郊外の不便な場所にあって交通の便が悪い、というより、無い。
社員は全員マイカー通勤。
僕は移転した時、この土地に引っ越すのがいやで都内に留まった。
都内から逆方向でも渋滞するから車はリスクが大きいので普段は使わない。
それで自宅からは電車に乗るが、降りた駅から先はバスも使い物にならない。
そこで降りる駅のそばに個人経営の駐輪場を借りてミニバイクを置いてある。
気分によって自宅から車や大型バイクを使うが、通勤の頻度はコレが高い。
燃費もいいし。
(平日に都内のリハに直行するにはトータルで3時間かかるのが難点)

駐輪場を選ぶ時、置きっぱなしなので盗難のセキュリティを第一に考えた。
公営の所は値段はやや安いが、いかにも盗られやすい構造。
個人の所は値段は高いが囲いもあって雨風もしのぎやすい。
そして2匹の犬を飼っていた。
値段とセキュリティで迷ったが、最終的に決め手となったのは2つの犬小屋にマジックインキで犬の名前が書いてあって、それが「ジョン」と「ポール」だった。
「ではこっちにしよう」
と決めた。
まだバンドとか全然やってない頃でストラトもまだ持ってない音楽不毛の頃だったけど、自然とそんな風になった。
ポールの方がよく吠えた。
ジョンはおっとりした感じ。
ポールはよく「輪抜け」(首輪を抜いてしまう)をやって近所をうろついてた。
それをジョンはうらやましげに眺めてた。
月日が流れて彼らも年老いてポールが先に死んだ。
晩年はしばらく歯茎に腫れ物ができて辛そうだったが、腫れが引いたな、と思ったら暫くして、外された鎖と空の犬小屋・・ジョンが座ったまま鼻をクンクン鳴らし続ける、という光景となった。
その後ジョンもしばらくして老衰で死んだ。
暫くの間、主を失った2つの犬小屋がポツンと残されたが、それも片づけられた。

そして最近、経営者の母屋の玄関に黒い柴犬型の子犬を見かけた。
少し大きくなったので、いよいよ「お外」の練習で外につながれる日が増えた。
犬小屋にはその家の子供がマジックで「りゅうくん」と書いた表札を付けてある。
(ジョージやリンゴじゃなかった)
まだ成犬じゃなく、あまり吠えない。
飼い主一家が触りすぎたのか、撫でられるのはあまり好きではないみたい。
りゅうくん、長い付き合いになりそう。

(目みたいに見えるのは眉毛のあたりにある茶色のブチで、目じゃないよ)