断捨離とは無縁なガラクタお取り置き生活。

紅茶の缶だの、中元歳暮の箱やリボン。

いつか何かに使えるかも〜照れと溜め込んでいます。

いつかは来ないので、時折ひっそり捨てるのみ。

がしかーし!数年に一度はひらめいて何かの作品に昇華する場合があります。



中元のクッキー箱の底に敷かれていた厚紙。
白と水色が可愛いなぁと。

クリアファイルを好きな大きさに切り、3ミリ幅の両面テープで貼り付ければ、オリジナルファイル完成。


クリアファイル部分は見えにくいですが
中は特に面白くない
外のストライプが可愛いだけ


紅茶の入っていたパッケージの像が可愛くて、
ミニ裁縫セットにしてみました。

最初に作ったのはこれ

手のひらサイズのミニ手帳を手作り。
財布に入るサイズなら、バッグをかえても入れ替えなくて良いかと思いまして。


大きなシールに魚のパンチング
書きやすさを考えないのも手作りの楽しさニヤリ

更年期で心身共にダメダメの日々。
せめて手芸や工作でささやかに盛り上げたい。
自分一人なら、寝込んだままグッタリしていられますが、家族がいればそうもいきません。
自分をご機嫌に保つのは骨が折れます。
がしかし、更年期でもテキパキ動ける時があります。

怒り
そう、怒っているときは、プリプリしながら家事が進むこと進むことムキー
楽しくはありませんが、家事が片付いた後はスッキリしています。

不調が長引くときは、そっと記憶のファイルを開きます。
私の怒り発火剤となる話はたいてい夫がらみ。

子供が3歳と2歳だったある冬の週末。
ディズニー映画を観ながら、眠そうな子どもたちの顔にこちらも眠気を催していた午後9時過ぎ。
家の電話が鳴って、「私はイトウと言います。ご主人の携帯からかけています。落ち着いて聞いてください。ご主人が駅の階段から落ちたみたいで、血だらけです。話が出来るので、意識はあります。生きています。救急隊の人から電話があると思うので、待っていてください。」と男性が落ち着いた声で丁寧に説明して下さいました。

受話器を置いても、心臓がバクバクして、手が冷たく震えています。 
心配そうに私の顔を下から見上げる長男。
次男は眠っています。
子供を不安にさせてはいけない。
まずは生きてるから大丈夫。
給料日直後の週末、きっと大酒飲んだに違いない。

病院はどこだ。会社の梅田周辺。
どうやって行こう。子供二人連れてどうやって行こう。
田舎なので、この時間に流しているタクシーはありません。
携帯でタクシー会社の番号を調べていると、再び家の電話が鳴りました。

「救急隊です。ご主人を今から病院に運びますが、今日は要請が多くて、病院が決まるまで時間がかかるかもしれません。意識はありますが、顔と頭のケガで出血量が多いです。会われた時に驚かないように。また連絡します。」
意識はある。の言葉を繰り返し言い聞かせました。

子供たちの小さいリュックに、お茶とジュースとお菓子。そこらへんのおもちゃを適当に入れて連絡を待ちました。
「とうさん、イタイイタイ?」長男はこわばった顔で聞いてきます。
「大丈夫大丈夫。父さん、ちょこーっとだけ、本当にちょこーっとだけ転んだって。会いに行こうね。」と私は出来るだけ笑顔で答えました。
笑えてはいなかったでしょう。

数分後、救急隊から梅田の救急病院の名前を知らせてきました。
「生きてますよね」と長男に聞かれないように小声で聞きました。
「大丈夫です」とだけ返答してくれました。

小銭をかき集めて財布に入れ、長男と手をつなぎ、次男を抱いて到着したタクシーに乗り込みました。
「福島区の○○病院、分かりますか。」と運転手さんに聞くと、「梅田はさっぱり分かりませんけど、頑張って探しますから。」と私や長男の表情からただならぬ空気を感じ取り、運転手さんは引き受けて下さいました。

タクシーの中、長男は外の景色を見ながら、時折じっと私の顔を見つめて泣きそうな表情です。
「夜景が綺麗だね」という私の声がかすれ過ぎて、長男はいよいよ泣きそうになっています。
バカ私。
声出すな私。
次男は腕の中でスヤスヤ寝ています。
運転手さんも何も言いません。

梅田に到着しても、よく似た名前の病院があったり、土地勘のない運転手さんも四苦八苦しつつ、道行く人に尋ねながら、ようやく病院発見。
メーターは途中で止めて下さいました。
有り難いことです。

救急室の前の椅子に、流血した頭をハンカチで押さえながら口喧嘩中のおばあさん二人。
なんだよ都会。

看護師さんに案内されて中に入ると、薄暗い部屋の片隅にお医者さんが座っていらして、少し離れたストレッチャーの上に横たわる赤ナマコ。

頭から顔から首、胸まで血だらけの夫でした。
口周りとおでこを切ったらしく、乾いた血が赤茶けて服にもベッタリ。
髪は血でカピカピ。
こちらに気づくとガバッと起き上がり、
「ヒョーヒタファ(よう来たな)」と漆黒の口を開けて息子を手招き。
ヒーーーーーッ
長男は完全にフリーズ。
喋るな赤ナマコ💢
怖がっとるやろが💢

「子供が怖がるから喋らんといて!」と赤ナマコに言い捨て、先生の前の椅子に座ります。
握った長男の手も冷たく、赤ナマコから目を離せないでいる様子。
「駅の階段の上から下まで落ちて、目の上と口を切っておられます。齒も6本欠けていますね。
でも、奇跡的にどこも骨折しておられないです。」と先生が言った途端、赤ナマコはまたガバッと起き上がり、
「ナ、フゥヒェミファレヒテンネン(な、受け身が出来てんねん)」と暗黒の口でニーっと笑います。
長男がビクっとして体を硬直させている。
「黙れ!受け身の前に階段から落ちるなアホ!」と私は怒声を浴びせました。
あちこちでビクっと動く物体。
救急室のあちこちに、処置を終えた人が寝ていたのでした。

傷は縫ったし骨折もしていない。
見ての通りの満員御礼。
つまり、病院としては歩ける人は帰って欲しい。
帰りますとも。

ファーファー何かをしきりに喋っている赤ナマコ。
黙れボケ。

帰りのタクシーでも、これだけのケガで骨折もしていないと、運転手さん相手に得意気にしゃべりまくっている。
相槌をうちながらも運転手さんの顔はひきつっています。
だって見た目はほぼ死体。

家に帰り着いて夫が放ったのは、心配をかけた我々への謝罪でもねぎらいでもなく、
「ナッフォハエヨッカナ(納豆食べよっかな)」
忘れんぞ、この日を。
クソナマコがっ!

折れた齒6本をセラミックに。
120万円。
往復タクシー代
3万円。
その後、家計への影響は長く尾を引きました。

第一報をお伝え下さったイトウ様、あちこちの病院に受け入れ要請をして下さった救急隊の方、行きも帰りも気を遣って下さった運転手さん、皆様たいへんお世話になりました。

追記
この赤ナマコ事件の最中、ずっと私に抱かれていた次男。
3年後、幼稚園で口の中を深く切って数針縫う事故に遭ったのですが、処置を終えた直後に
「納豆食べたい」と言い放ちました。
遺伝子がホラー……