アルコール専門療養所の長い一日、
“酒浸り(ウェット)”な患者と危険なナース、マーフィーの治療のゆくえは―

Arika報告書v1アイコンロサンジェルスの南端から太平洋を臨む崖の上に建つアルコール依存症患者専門療養所(エル・ヘルソ)の所有者ドクター・マーフィー。酒浸りの患者たちとケアするスタッフたちとともに、今日も騒動が巻き起こる。伝説のアメリカ作家が放った、悩める医師の一日の物語。本作で光るのは、さまざまなディテールや小さなエピソードであり、それをトンプスンは自身の見聞から引っぱってきただろうことは想像に難くない。……矯正施設《エル・ヘルソ》は、閉ざされた世界、トンプスンの脳内なのだ。(

装幀: 黒洲零
解説 :霜月蒼



ジム・トンプスン(Jim Thompson 1906-1977)
1906年、アメリカ・オクラホマ州生まれ。油田労働者、ベルボーイ など、職業を転々とする。1942年、初の長篇を出版。1949年、初の 犯罪小説『取るに足りない殺人』を発表する。『おれの中の殺し屋』 (1952)など、ペイパーバック・オリジナルで作品を次々に発表する。 『現金に体を張れ』『突撃』(スタンリー・キューブリック監督作品) の脚本に参加。1977年没。

高山真由美(翻訳)
東京生まれ。青山学院大学文学部英米文学科卒。訳書に、M・J・カーター『紳士と猟犬』、リサ・バランタイン『その罪のゆくえ』、リー・カーペンター『11日間』(以上、早川書房)、ハンナ・ジェイミスン『ガール・セヴン』(文藝春秋)、ポール・タフ『成功する子 失敗する子』『私たちは子どもに何ができるのか』(英治出版)など。