希望名人ゲーテと絶望名人カフカ。二人の文豪による名言対決!
Arika報告書v1アイコン歴史に名を残したゲーテとカフカ。二人はよく似た境遇にありながら、作品や数々の言葉から「明」と「暗」といわれる。同時代に対話することがなかった二人の言葉を対比させながら、思想や背景を解説した名言葉。希望も絶望も、人生にはほどよく必要なのかと思える。シリーズ第1弾『絶望名人カフカの人生論』、それをコミカライズした『マンガで読む絶望名人カフカの人生論』も大好評配信中!

 

 ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)   
(1749年8月28日 - 1832年3月22日)。ドイツの詩人、劇作家、小説家、自然科学者(色彩論、形態学、生物学、地質学、自然哲学、汎神論)、政治家、法律家。ドイツを代表する文豪であり、小説『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』、叙事詩『ヘルマンとドロテーア』、詩劇『ファウスト』など広い分野で重要な作品を残した。

その文学活動は大きく3期に分けられる。初期のゲーテはヘルダーに教えを受けたシュトゥルム・ウント・ドラングの代表的詩人であり、25歳のときに出版した『若きウェルテルの悩み』でヨーロッパ中にその文名を轟かせた。その後ヴァイマル公国の宮廷顧問(その後枢密顧問官・政務長官つまり宰相も務めた)となりしばらく公務に没頭するが、シュタイン夫人との恋愛やイタリアへの旅行などを経て古代の調和的な美に目覚めていき、『エグモント』『ヘルマンとドロテーア』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』などを執筆、シラーとともにドイツ文学における古典主義時代を築いていく。

シラーの死を経た晩年も創作意欲は衰えず、公務や自然科学研究を続けながら『親和力』『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』『西東詩集』など円熟した作品を成した。大作『ファウスト』は20代から死の直前まで書き継がれたライフ・ワークである。ほかに旅行記『イタリア紀行』、自伝『詩と真実』や、自然科学者として「植物変態論」、「色彩論」などの著作を残している。

 フランツ・カフカ(Franz Kafka)   
小説家。1883‐1924。オーストリア=ハンガリー帝国領当時のプラハで、ユダヤ人の商家に生れる。現代実存主義文学の先駆者。生涯独身、子供なし。41歳の誕生日1ヵ月前にほとんど無名のままこの世を去った。代表作には『変身』、『訴訟(審判)』、『失踪者(アメリカ)』、『城』などがある。

 

 

頭木弘樹
文学紹介者。筑波大学卒業。大学3年の20歳のときに難病になり、13年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から、『絶望名人カフカの人生論』(飛鳥新社/新潮文庫)を編訳。監修書に『マンガで読む 絶望名人カフカの人生論』平松昭子(飛鳥新社)。著書に『絶望読書──苦悩の時期、私を救った本』(飛鳥新社)、『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』(春秋社)。選者を務めたアンソロジーに『絶望図書館――立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語』(ちくま文庫)がある。NHK「ラジオ深夜便」の「絶望名言」のコーナーに出演中。