VOL・108
大人だからこそ読んでほしい、
海外ノンフィクション《近代史・・遺伝子組み換え商品・人類学》3冊
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1: 2つの世界大戦と原爆投下 (ハヤカワ・.../早川書房
¥994
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オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史2 ケネディと世界存亡の危機/早川書房
¥価格不明
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オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 3 帝国の緩やかな黄昏/早川書房
¥価格不明
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オリバー・ストーンが語る、民主主義とは裏腹の帝国主義な顔を持つアメリカ
オリバー・ストーン監督と民主党左派のピーター・カズニックが描いた、語られてこなかったアメリカの近現代史。第1巻では《自由世界の擁護者》という米国のイメージが、いかに都合よく作られた、「神話」であるか、史実を基に明らかにしたドキメンタリー。ソ連を牽制するため、すでに瀬死の状態にあった日本に対して原子爆弾を投下したことを明かす第4章は圧巻。ただし近代史の知識が必要です。知識があるという前提で、もう1つの観点(帝国主義)から話を進める内容だからです。だから本書だけで「これがアメリカの真の姿だ」と結論づけちゃうのは尚早で危険ではある。なにせ、『オリバー・ストーンが語る』もうひとつですから。オリバーストーン史観の偏りのある本だが、様々なアメリカ近代史の問題点をあぶりだしてくれた事は面白く、一読の価値はある。第2巻では《ケネディと核戦争の危機》を中心に、第3巻ではそれ以後から現在に至る《アメリカ帝国の終焉(に向かってると著者は書いてる)への道程》が収録。全3巻。
遺伝子組み換え食品の真実/白水社
¥2,592
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子どもたちに「遺伝子組み換え食品」を食べさせてはならない
──訳者・白井和宏氏からのメッセージ
「それほど遺伝子組み換え食品が素晴らしいものなら、なぜ世界中で反対運動が起きているのか」「世界中で消費者や農民が反対しているのに、なぜ遺伝子組み換え作物が拡大しているのか」というマスコミが報道しない、本質的な疑問に答えているのが本書である。本書を手にした人は、怒りを持ってページをめくり続けるはずだ。私たちが口にする食べ物は、ここまで狂っているのか、と。遺伝子組み換えを推進する巨大種子企業は、米国政府、マスコミ、ときには権威ある学術誌までも篭絡し、世界を思いのままに操る。未知の毒性やアレルゲンの影響をもっとも受けやすいのは子どもたちである。大事故が起きてしまってからでは手遅れ。遺伝子組み換え食品をめぐる真の問題とは何か知るために、ぜひとも一読を。問われる消費者の選択の一冊。
人種は存在しない -人種問題と遺伝学/中央公論新社
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人種差別なき世界を希求するサイエンス・エッセー。
科学的には「人種」は存在しないが、「差」を探す人の心は変わるのか?
最新の遺伝学から、「人種」が生物学的意味を持たないことを示す一方、 遺伝子には、祖先集団への帰属が読み取りうることを紹介。約20万年前のアフリカを出発し、歩き始めた私たちの祖先。「黒と黄」とは「違う人種」だとする差別主義者たちと、ヒトの差異をも否定する平和主義者のどちらにも与しない分子生物学者は、遺伝子を辿りながら冷静に「祖先集団」の真実を炙り出す。その結論は、あるヒト集団に特有な遺伝的多型はほとんど存在せず、二つの地理的ヒト集団間よりも、一つの地理的集団内における遺伝的マーカーの多様性の方がはるかに大きい、ということに尽きる。専門的な用語がいくつか出てくるが、用語解説もあり、訳も平易で読みやすい。特に興味深かったのは、科学的には「人種」は存在しないが、「差」を探す人の心は変わるのか? この背景には、1%の富裕層が残り99%を支配するというグローバリズムの進展があるのではないだろうかという点。人の心から狭隘な差別心を除くためには、いかにして99%への富の配分を増やし精神的なゆとりを取り戻させるという政治的な課題である。それが行われないと、人種差別主義がナショナリズムと結びつくという最悪の事態も想像される。DNAに関する科学的な議論だけでなく、知能と知能指数の違い、人種ビジネスの問題点、犬種などの興味深いトピックを含んでいるので一読を勧めたい。