VOL・107
大人だからこそ読んでほしい、国内ノンフィクション《鳥本》3冊
本書の主題は、鳥類と恐竜の緊密な類縁関係を拠り所とし、
鳥類の進化を再解釈することと、恐竜の生態を復元することである。
この本は恐竜学に対する挑戦状ではない。
身の程知らずのラブレターである。
鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)/川上 和人
¥2,030
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大前提は「恐竜は鳥である」ということ。最近の研究で、鳥類と恐竜は非常に近い種であることがわかってきた。本書出版より著者は「現生恐竜生態学者」と名乗っている。ポップな文章とキッチュなイラストとともに最先端の研究結果が詰まっている。タイトルに”無謀にも”を入れるような確信犯。想像したい放題、書きたい放題です。
日本のライチョウはなぜ人を恐れないか。
日本の自然と日本人の生活文化に守られ、育まれてきた「奇跡の鳥」のラストメッセージ。
二万年の奇跡を生きた鳥 ライチョウ/農山漁村文化協会
¥2,700
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本書はライチョ研究の現状が描かれている。本州中部の高山帯のみに生息し、2万年の時をかけて特殊な進化を遂げたこの鳥の生息数は2000羽以下とみられている。厳しい環境と山の信仰のため、日本人はライチョウを捕獲せず、そのため人間を恐れない。ライチョウは徐々に減りつつある。余裕がある今、国を挙げて保護しなければならない。
ゴミを漁り、カアカアとうるさがられるカラス。
走る車にクルミの殻を割らせ、マヨネーズを好む。
賢いと言われながらとかく忌み嫌われがちな真っ黒けの鳥の生態をつぶさに観察すると、驚くことばかり。
日々、カラスを追いかける気鋭の動物行動学者がこの愛すべき存在に迫る、目からウロコのカラスの入門書!
カラスの教科書 (講談社文庫)/講談社
¥778
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「鳥モノにハズレなし」。長くノンフィクションを読んできて、これは間違いない法則である。本書もまったくそのとおり。嫌われ者のカラスを研究する著者が、カラスを愛するあまり、基礎知識から生態、歴史、そして取り扱い説明書まで懇切丁寧、まさに教科書として書かれた一冊。本書を読んでから少しだけ、カラスが好きになっている。