★6月23日(木)~9月30日(金)
文庫フェア



英社文庫『ナツイチ2016』。

2016年のテーマ「世界をつくろう」

自分の”世界”をつくるためにはつきもの。

そこで8タイプの読書の旅が楽しめる作品を選びました。

いろんなタイプのを、ナツイチ作品でお楽しみください。



■今年の特典


しおりにもなる”ぱっちんバンド”

「世界をつくろうナツイチ」と書かれたオビが巻かれた文庫を1冊、書店店頭で買うと、その場で、ナツイチ限定ぱっちんバンドが1つもらえます。

※店頭でなくなり次第終了となります。


田辺誠一さん描き下ろしイラストバージョンが4種類、

人気イラストレーター・山田詩子さん描き下ろしイラストバージョンが4種類の計8種類。

手首につけて楽しむのはもちろん、伸ばした状態で「本のしおり」としても使えますし(読んでいる最中は手首に巻いておけばなくす心配がありません!)、バッグの持ち手の部分につけても可愛いです!

ぜひ、8種類集めて読書のおともに、いろいろと楽しんでください!


■フェアのジャンル項目


「勇気がもらえる旅へ」
「優しさの旅へ」
「自分探しの旅へ」
「冒険の旅へ」
「知の旅へ」
「笑いの旅へ」
「青春の旅へ」
「考える旅へ」


・・・・の8ジャンル。


2016/06/26 に公開
中条あやみ×田辺誠一 主演
ナツイチ2016 スペシャルムービー「世界変わるぜ」本編映像

■アイコンの説明


(恋)…他人の恋を体験しよう。
(涙)…涙なくしては読めません。
(笑)…とにかく笑いたい人へ。
(躍)…読めばワクワク心が躍る!
(謎)…途中でやめられない!
(哀)…哀しみは心の栄養素。
(爽)…夏は爽やかな小説です。
(驚)…驚きのどんでん返し!




青春の旅へ×10
「あの頃」は、今日かもしれない。

夢や、恋や、友情の教科書みたいだよ。


(涙)(躍)(爽)
 6 シックス/早見 和真(著)

6 シックス (集英社文庫)/集英社

¥670
Amazon.co.jp

若者たちの熱い思いが交錯する、野球に懸けたまぶしい青春。

野球に打ち込んだ学生たちが迎える最後の舞台、東京六大学野球。甲子園のスター選手と同時代を生きる東大の補欠選手、チームメイトや、マネージャー。みんなコンプレックスや葛藤を抱きながら自分の人生で主役を張って輝いている。リアルで切ない青春に感涙必至の連作6編。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1六大学野球を中心とした六つのストーリーからなる。なんだか、清々しく爽やかな物語たち。ザ青春!な高校野球ではなく、大学野球となると甲子園に向かっていた各々のあの頃や、社会人手前の感じがまた新しく感じられた。全編良かったですが、最初二つの東大と法政の話が特に好き。最後の新聞記事で、結末がわかるのがとても面白かったです。星君を通じてみんなが繋がっているのがすごく良かった。解説もいいなぁ。野球がまた好きになる、出逢えて良かった物語でした。心が晴れやかになる、夏に読んで良かった!と思う本でした。

この本の世界を作る1行
自分がそれほどの選手でないことは、自分が一番よく知っている。その才能のなかに誰よりもがき苦しんできたというのに。




(躍)(爽)
 2.43 清陰高校男子バレー部 ①/壁井 ユカコ(著)

2.43 清陰高校男子バレー部 1 (集英社文庫)/集英社

¥562
Amazon.co.jp

誰よりも高く跳べ!
弱小チーム“春高バレー”へGO! 


東京に行った泣き虫の灰島が突然、地元・福井に戻ってきた。天才的なセッターへと変貌した彼だったが、実は苦い過去があって・・・・・・。メンタルの弱さに悩む黒羽、小さな熱血主将・小田ら個性豊かな部員たちが、憧れの春高バレー出場を目指していく、爽やかで熱い青春小説。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1バレーの青春小説。ちなみに、2.43って春高バレーのネットの高さらしい。バレーボールが大好きな子達がそれぞれに悩みを抱えながら前に進もうと足掻いている様子が、歯がゆくもあり甘酸っぱくもあり、まさに青春。ルールも何となく知っていることもあり読みやすく、1日で読了。が、軽すぎることもなく十分楽しめた。学生時代のチームはその限られた時間、偶然が生んだ奇跡みたいなものだ。その時期のメンバーによっては、今まで弱小チームだった学校が急激に強豪校に引けを取らないものになることだってありうる。本書は、各話で部員それぞれに焦点を当てていくのだが、灰島の中学時代からユニチカのエピソードの流れには引き込まれた。少年漫画のようには上手くいかないけれど、彼らがどうなるのか目が離せないし、そんなお決まり展開に期待が膨らむ。いーのだ、青春はベタで!次の巻では春高を目指すことになるのだろうか…。

この本の世界を作る1行
きっとこいつの心に、まっすぐな言葉だけが届く。「おれを信じて欲しい。おまえの全力を、貸してくれ」







(笑)(躍)(爽)
 チア男子!!/朝井 リョウ(著)

チア男子!! (集英社文庫)/集英社

¥価格不明
Amazon.co.jp

笑われたっていい。
こんなにアツい舞台、他にない! 


柔道に挫折した大学1年生の晴希が幼なじみの一馬と結成したのは、大学チア初の男子チーム。しかも集まったのは個性的すぎるメンバーばかり・・・・・・。どうなる、チア男子!?
チアリーディングに青春をかける男子たちの姿に勇気と笑顔をもらえる、感動の青春ストーリー!

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1人を応援することで、主役になる。道場の長男として幼い頃から柔道を続けてきた大学1年の晴希。怪我をきっかけに柔道をやめ、親友の一馬とともに男子チアチームの結成をめざすことに…! 笑いと汗と涙の感動ストーリー。 爽やかなスポーツものだが、題材の男子チアリーディングは今まで見たこともなかった。それ故に文章だけでは理解できない動きや技が多々出てくるのだが、それでも面白く読ませるのは著者の筆力なのだろう。知らない世界をいかにわからせながら読ませるのは、三浦しをんさんを彷彿とさせました!!最後の大会での演技と、交互に出てくる各々のノートに綴られた内容にちょっと感動。メンバー全員に人生があり、悩みがあり、チアをやる理由がある。経験者すらいない状態で集まったブレイカーズ。みんながそれぞれ見てもらい人のためにチアをやる。元気をもらえた。 人は苦悩を突き抜けて、歓喜を勝ち得る…確かに。この夏、アニメ化も始まってることですし、動画で技をみれるのもいい機会、楽しいなあ~!!

この本の世界を作る1行
すごい。歓声が全身を刺激する。熱い。体が熱い。このまま血液が、細胞が、全身が、沸騰して消えてしまいそうだ。







第25回小説すばる新人賞受賞作  (謎)(哀)
 赤と白/櫛木 理宇(著)

赤と白 (集英社文庫)/集英社

¥605
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逃げ場のない息苦しさに少しずつ壊れていく少女たち。 

雪深い新潟の町で、歪んだ母娘関係の中で閉塞感を抱えて生きる4人の女子高生たち。胸でくすぶり続ける不穏な感情は、やがて憎悪へと変わり、凄惨な悲劇を生んでいくことに――。脆くて無力な、一見普通の少女たちの心の闇を、生々しく描き出す。第25回小説すばる新人賞受賞作。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1雪国で暮らす女子高校生達の虚無と殺人。新潟の雪深い町で暮らす、高校生の小柚子と弥子。明るく振る舞う陰で、二人はそれぞれの事情を抱えていた。そんな折、小学生の頃に転校していった友人の京香が現れ…。少女たちの閉塞感と悲劇を描く。登場人物みんな闇が深いのなんの、読後感悪いです。雪国で暮らす女子高生、弥子、小柚子。二人とも辛い生い立ちと親子関係を抱えていて、お互いがいればなんとかやっていけそうだった。ところが京香が現れて、お互いを大切に思うからこその嫉妬や苺実の参戦でぎくしゃくしていく。苺実の狂気がリアルで怖い。雪国の描写がさらに閉塞的な雰囲気を醸し出していて、終始重かった。最後、こんな境遇でもどうにかしていこうする姿と友情に少しだけ光が見えた。何より皆、親が酷すぎる。なんでここまでみんながみんな病んでいるんでしょうか…。どの病母がどの病娘の親だかわからなくなる事が何度かありました。 こんな親たちに育てられ、必死に順応していこうとする少女達が痛々しかった。 後味は悪いし、どんより疲れましたけど、でも、嫌いではないです。誰もが感じた事のある複雑な感情が描かれていて良い意味で圧倒されたし、どこかに行ってしまいたい、逃げてしまいたい気持ちは、大人になった今でもふと感じる部分であるだけに、深い共感の思いもありました。

この本の世界を作る1行
なんてきれいで、そして強い。炎はなにもかもを呑みこみ、はねあげ、あんなにも猛威をふるまった雪さえねじ伏せて君臨する。







(恋)(笑)
 よだかの片想い/島本 理生(著)

よだかの片想い

イラスト限定カバー:山田詩子


よだかの片想い (集英社文庫)/集英社

¥562
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24歳、容姿に劣等感がある、不器用な理系女子の初恋物語。 

生まれつき顔に大きなアザのある理系大学院生のアイコ。幼い頃から恋や遊びを遠ざけて、ひっそりと生きてきたが、映画監督の飛坂との出会いから状況が一変。24歳にしてついに初めての恋に落ちる。純粋で不器用、嘘も駆け引きも無理、一途な彼女の恋の行方は!?

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1顔のあざを小学生の時の担任の一言で意識し始める。ジロジロみられたり、何か言われたりする一方、そんな彼女を肯定してくれる人物が現れる。 最後まで読んで、彼女の人柄の良さはちゃんと周りに伝わっているなとわかった。 劣等感は自分の中に芽生えてきたのではなくて、周りの人々によって植えつけられて行くのだと顔に痣を持つアイコの悲しみに触れ、そう思った。自分を題材にした映画を撮ってくれた監督に恋をし、切ない恋は向き合う強さや、一歩踏み出す力をアイコにもたらした。最初は我が強いくてあまり良い印象でなかったアイコだけど、恋をしてかなり印象が変わる。真っ直ぐで切なくてたまらない恋。止まらず一気読みです。恋をして世界が広がる様子が気持ち良くて、ちょっと羨ましい。コンプレックスを受け入れ、恋を終わらせた勇気、そして前を向いて歩き出せたこと。ラストはスッキリ清々しかった。強い人は自分が弱いことを知っていて、それを隠そうとしない人だ。見つめることなんて怖くてできない、そんなものを、眼をそらさず見られる人だ。 もう少し背が高かったらなどとないものねだりしてしまうけど、そう思ってしまうところも含めて全部私なんだなとつくづく感じる。 すてきな一冊に出会えた。

この本の世界を作る1行
でも今は知ってしまった。求められることの幸福を。そうしたら、もっと欲張りになっていた。







(恋)(哀)(爽)
 十五歳の課外授業/白河 三兎(著)

十五歳の課外授業 (集英社文庫)/集英社

¥691
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爽やかなだけとは限らない、苦くて切ないリアルな青春。 

歯科医院の跡取り息子の卓郎、中学三年生。ある理由から肉食女子の彼女・ユーカの猛攻を避けている中、クラスにやってきた教育実習生。その暗くて冴えない女子大生・辻ちゃんに、卓郎はどこか見覚えがある気がして・・・・・・。等身大の中学生の悩みと「秘密」をビターに描く青春小説。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1中3の卓郎のクラスに現れた教育実習生。彼女が数年前まで卓郎の父の歯科医院に通っていた「おねえちゃん」だと気付き、喜ぶ卓郎だが…。中学生のリアルな悩みと秘密を描く青春小説。15歳男子が主人公。かわいい彼女に振り回され、教育実習生のお姉さんの秘密を知り、姉の家出、親友の恋など、内容てんこもりだった。後半の怒濤の展開は著者らしく、読み応え充分。最後のメッセージ的なものもよかったと思う。話的には育児だったり、SEXだったりめっちゃヘビーなものだけど、伝えたい内容としては、自分という存在は周りの人あってこそ、自分だけの価値観で、一喜一憂するのではなく周りの人への感謝を忘れないのって大事だよー。っていうことが書かれてるんだけど、『自分の未来は自分の手の中にある』『自分は他人がいないと成立しない。』など、ところどころ尾崎豊を彷彿させる。中学生の結構ハードな課外授業でひりひりするような青春の痛みが伝わってくる。最後まで読み通さなければ、この小説の醍醐味は味わえない。前半の軽さと後半の重さ。主人公たちの叫びが、胸にずしんと響く。 決してさわやかではない青春小説。

この本の世界を作る1行
「いいこと? 個々の人生にはその人の固有の制約があるけど、その決められたルール内では自由が約束されるの」






(涙)(爽)
 雲は湧き、光あふれて/須賀 しのぶ(著)

雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)/集英社

¥583
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友情、嫉妬、ライバル心――。
高校球児たちの熱い夏が始まる! 


故障したエース専用のピンチランナー、球児を取材する新米記者、戦時下で甲子園出場を阻まれた若者たち・・・・・・。それぞれの高校野球を描いた短編集。憧れの甲子園を目指す者たちの、いつの時代も変わらない熱い想いに、思わず目頭が熱くなる。涙と感動の青春物語。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1高校野球ものの短編集。1話目はスラッガーとピンチランナーの話。2話目は高校野球を取材する新人スポーツ記者の話。3話目は戦時中の球児の話。1話目と表題作の3話目に焦点を絞って書かれた書評を多く目にした気がするのだけれど、一番心に大きなものを残したのが2話目。中2病の球児とその幼馴染のやり取りも可愛らしく、もっと続きが読みたい!と素直に思いました。特に会話とか人間の書き方が自然で、読みやすい文章の作家さんだと思う。 野球のルールも分からないし、高校野球も漫画タッチしか見たことない私でもこの小説に青春を感じました。野球に興味なくても、暑くてうんざりしてても、球場に行くといつの間にか雰囲気に呑まれて声の限り応援しちゃうんだよ。なんなんだろうね、あの魔力って…。高校野球には、色々なストーリーがあり、どの立場で見ても楽しめる。ちなみに、タイトル元の歌『栄冠は君に輝く』の作詞者の加賀大介は、骨髄炎による片足切断で野球を断念している。その野球への思いも、この歌とこの小説に感じることができる。 「雲は湧き、光あふれて」今、高校野球を観ることができる幸せを噛みしめよう。

この本の世界を作る1行
今があれば、もう二度と勝てなくてもいい。そう言えるようになるまで、こいつはいったいどれほど泣いたんだろう。





(恋)(謎)(爽)
 ハローサヨコ、きみの技術に敬服するよ/瀧羽 麻子(著)

ハローサヨコ、きみの技術に敬服するよ (集英社文庫)/集英社

¥605
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僕に彼女を止めることはできないが、守ることはできる。 

天才的なパソコン技術を持つ高校1年生の小夜子は、幼なじみの誠を通して学校裏サイトの中傷者特定、メールサーバーへの侵入など、さまざまな“依頼”を請け負ってきた。そんなふたりが事件に巻き込まれて・・・・・・。恋、友情、夢。高校生活を鮮やかに描く青春ノベル。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1高校一年生の誠のもとには、PCや携帯などネットワーク絡みの悩み相談が頻繁に舞い込む。しかし、依頼を受けるかどうかを判断するのはハッキング技術に長けた幼馴染の小夜子で……。ハッカー小夜子と幼なじみの誠を中心にした青春小説。高校生コンビがネットを駆使してお助け屋をやるという話から始まったのだけれど、学園青春小説というあおりとは違ってしまっている。表面上は普通の高校生活を送っている二人だけれど、高校入学を機にやめていたネットがらみの依頼を断り切れなくて受けたことから日常に少しずつ変化がやってくる。恋愛アリ、今どきのネット世界あり、ちょっとハラハラもあり。 ただパソコンが全くわからない相棒視点で話が進むせいか、または著者がパソコンに明るくないからだろうか、サヨコのハッキング技術がちっとも書き込まれておらずリアリティがないのが少し残念に感じた。達也や真琴ちゃん、部長のとてもいい感じの距離感と関係性がたまらなく好き。10年後も続いているかもしれないと思える友情は読んでいてやっぱり良いものです。高校時代ってやっぱり特別かも、と改めて思います。

この本の世界を作る1行
「きみの技術に敬服したよ、って犯人は言ったそうです。自分を追い詰めた、見知らぬ日本人に向かって」







(涙)(哀)
 オーダーメイド殺人クラブ/辻村 深月(著)

オーダーメイド殺人クラブ (集英社文庫)/集英社

¥778
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特別な存在になりたい――。
だから、私を殺してくれない? 


中2女子のアンはクラスメートの地味系男子に自分の殺害を依頼する。果たしてふたりが企む殺人計画は成功するのか・・・・・・。現実世界への苛立ち、絶望、死への憧れ。思春期特有の不安定な心の描写が痛々しいほどリアルで、心を揺さぶる。直木賞作家が放つ、珠玉の青春小説。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1「私を殺してほしいの」中学2年生の美少女・小林アンは、同じクラスの「昆虫系」男子・徳川にそう依頼する。ふたりは被害者と加害者として「特別な存在」となる計画を進めるが…。特別な存在であると信じながら友人たちの輪から外れるのを怖がり、特別ではない母親から生まれたことを嘆く少女アン。その矛盾に疲れ果てた時、似た空気を纏った少年に殺してほしい、と頼む。アンや徳川が事件を起こすことで特別になろうとする姿にイタイタしさも感じるが、それだけで片付けるべきできではないとも思う。多分、自分が特別な存在であると考え、それを隠しながら周りから浮かないよう普通の人を演じてる人は子供から大人までたくさんいると思うし、むしろそれこそが普通の人なのでは? 辻村さんの作品を読むと、思春期ってこんなんだったよね〜と思いながらも、大人と言われる年齢になった自分がそうではないと言い切れる自信もないことを思い知らされるけど等身大の青春小説として素直におもしろかったのは事実。まず、軽めのくだけた文体が中学生らしくていい。そして何よりこの年頃の雰囲気を構成する細部がすばらしくて、特に徳川少年の手放し運転なんかは痛々しい中学生らしさ全開で最高。女友達からしょうもないことで理不尽にハブられる描写もいいですね。この手の等身大の話って、そもそも端から見れば何も起こっていない(事件がない)もので、実際この物語はどこにでもある中学生の生活そのものなのだけど、それを細かい共感や小道具でおもしろく読ませようとする試みに感心した。

この本の世界を作る1行
「考えてよ。私の命をせっかく使っていいって言ってるんだから、最高のものにして」






(恋)(爽)
 夏のバスプール/畑野 智美(著)

夏のバスプール (集英社文庫)/集英社

¥670
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16歳の夏はこんなにまぶしい。
キラキラ青春ラブストーリー! 


夏休み直前、高校一年生の涼太は、登校中に謎の女子からトマトを投げつけられる。その彼女、仙台から来た久野ちゃんには何やら事情があって・・・・・・。複雑な高校生の日常、見えない未来、だけどこの恋だけはリアル。16歳のみずみずしい恋に胸キュンな青春小説。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1夏休みまであと5日! 青春初恋物語。2012年、世界は12月で滅亡するとの噂だが、高校1年生の涼太は、仙台から来た同級生に恋をする。一風変わった彼女には複雑な事情が…? 高校生活の青春と恋愛小説。好きな人の行動がとても気になる年頃だし先生と友達との距離感などがとても懐かしかった。そしてからかっていただけのはずなのにイジメられていたと言われてしまう大きな違いに受け止め方で全然変わってしまうんだなと怖さを感じた。青春‼︎友情、恋愛いうことなしに面白かった。前半はあまり引き込まれてなかったが、後半から完全に引き込まれた。リアルで丁寧な心理描写。くっつきそうでなかなかくっつかず、もどかしいけど、こんなもんですよね。追試とか、自販機のジュースとか、先生にあだ名つけたりとか、ピンポイントで懐かしすぎる単語がたくさん出てきました!ほんと懐かしい。そして気になるのが、涼ちゃんのお姉さんの彼氏って、櫻井君??その辺りをもう少し詳しく読みたかった(笑)。 まさに夏、トマトって感じの本。大人の恋と違ってもどかしいところがイラつきでもあり良さでもあった。 もう一度、時間空けて読んでみたい。

この本の世界を作る1行
どっちにしても、敵はいない方がいい。誰も久野ちゃんにかわいいなんて言わないままでいてほしい。







(恋)(爽)
 (映画ノベライズ)青空エール
 /下川 香苗(著) 河原 和音(原作) 持地 佑季子(脚本)


映画ノベライズ 青空エール (集英社オレンジ文庫)/集英社

¥594
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ひたむきに夢に向かって突き進め!
恋と友情の青春部活ストーリー。 


吹奏楽部のつばさの夢は甲子園で野球部を応援すること。クラスメートで野球部の大介と入学式である約束を交わし、互いに励まし応援し合っていたが、その友情はやがて・・・・・・。ふたりの恋の行方にドキドキが止まらない。大人気まんがのノベライズ版。8月20日映画公開予定!

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1甲子園を目指す野球部と、普門館を目指す吹奏楽部のある高校が舞台。「甲子園の応援をしたい」という動機で名門校だと知らずに吹奏楽部の門を叩いた未経験者の主人公が、時にはくじけながらも練習に励んでいく姿に交換がもてる。少女漫画原作ということで、相手役の男の子も友人男女も部活の仲間たちもみんなそれぞれ頑張るいい子。 清々しくて気持ちが良かった。吹部顧問の話がもう少しあってもいいのかなって思いました。 おばさんが読むと、物凄くくすぐったい世界でした。でも、青春真っ只中の子たちには爽やかでいい感じだと思います。こんな場面が私にも昔あればなぁ、なんて思いなから読みました。 THE青春!って感じの一冊。

この本の世界を作る1行
「躰がぶっこわれてでも出たい」
――それが、いっしょうけんめいにやるっていうこと。それもまた、つばさが知らなかった気持ち。