★6月23日(木)~9月30日(金)
文庫フェア



英社文庫『ナツイチ2016』。

2015年のテーマ「世界をつくろう」

自分の”世界”をつくるためにはつきもの。

そこで8タイプの読書の旅が楽しめる作品を選びました。

いろんなタイプのを、ナツイチ作品でお楽しみください。



■今年の特典


しおりにもなる”ぱっちんバンド”

「世界をつくろうナツイチ」と書かれたオビが巻かれた文庫を1冊、書店店頭で買うと、その場で、ナツイチ限定ぱっちんバンドが1つもらえます。

※店頭でなくなり次第終了となります。


田辺誠一さん描き下ろしイラストバージョンが4種類、

人気イラストレーター・山田詩子さん描き下ろしイラストバージョンが4種類の計8種類。

手首につけて楽しむのはもちろん、伸ばした状態で「本のしおり」としても使えますし(読んでいる最中は手首に巻いておけばなくす心配がありません!)、バッグの持ち手の部分につけても可愛いです!

ぜひ、8種類集めて読書のおともに、いろいろと楽しんでください!


■フェアのジャンル項目


「勇気がもらえる旅へ」
「優しさの旅へ」
「自分探しの旅へ」
「冒険の旅へ」
「知の旅へ」
「笑いの旅へ」
「青春の旅へ」
「考える旅へ」


・・・・の8ジャンル。


2016/06/26 に公開
中条あやみ×田辺誠一 主演
ナツイチ2016 スペシャルムービー「世界変わるぜ」本編映像

■アイコンの説明


(恋)…他人の恋を体験しよう。
(涙)…涙なくしては読めません。
(笑)…とにかく笑いたい人へ。
(躍)…読めばワクワク心が躍る!
(謎)…途中でやめられない!
(哀)…哀しみは心の栄養素。
(爽)…夏は爽やかな小説です。
(驚)…驚きのどんでん返し!





冒険の旅へ×11
「物語」を、すすめ。

何を読むかは、どこへ行くか。そうじゃないかな。


坪田譲治文学賞受賞作! (涙)(爽)
 世界地図の下書き/朝井 リョウ(著)

世界地図の下書き (集英社文庫)/集英社

¥648
Amazon.co.jp

ぼくらの希望は減らせない――。
子どもたちの痛みと成長の物語。


事故で両親を亡くし、「青葉おひさまの家」で暮らす小学生の太輔。
お母さんのように優しい高校生の佐緒里との別れの日に向けて、仲間たちとランタンを空に飛ばす蛍祭りを復活させる作戦を立てる――。
繊細な子どもたちが成長していく姿を描いた、坪田譲治文学賞受賞作。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1両親を事故で亡くし、施設で暮らす小学生の太輔。施設を卒業することになった高校生の佐緒里のために、仲間たちと「蛍祭り」を復活させる作戦を立てはじめ……。児童養護施設で暮らす子供たち。ここでも、大人の事情に振り回されたりいじめられたり苦難が続く。それでも、協力して一つの大きなことを成し遂げ変わっていく。逆境の中たくましく育っていく子供達の物語。大人ができることは思いっきり愛する事。思いを口にすることは難しいけれど小さな事実に心を傷める事がないよう、愛情をもって見つめること。愛している事を伝えていこうと思いました。最後の丘の上での5人の会話はとても前向きで希望があり良かったです。「希望はなくならない」物語運びが秀逸だったからか、とても素直に胸に響いた。ありきたりな言葉なのに、安っぽさを全く感じない。さすが朝井リョウ。 これからバラバラに生活していくこの子達が、いい人と出会って、とにかく幸せになって欲しいですね。

この本の世界を作る1行
「どんな道を選んでも、それが逃げ道だって言われるような道でも、その先に延びる道の太さはこれまでと同じなの。同じだけの希望がある。」 






(笑)(謎)(驚)
 駈け落ちは死体とともに/赤川 次郎(著)

駈け落ちは死体とともに (集英社文庫)/集英社

¥508
Amazon.co.jp

見知らぬ死体がふたりを阻む!どうなる!?
僕らの駈け落ち旅。


駈け落ちを決めた予備校生カップル。
ところが決行の日、トランクを開けるとなぜか見知らぬ男の死体が・・・・・・。
のんきなふたりの駈け落ち劇をコミカルに描いた表題作の他、親心が切ない物語、背筋が凍る不気味な話など、多彩な魅力の短編ミステリーを全8作収録。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1駈け落ちを決行した哲と明子のトランクからナント死体が―。新生活を夢みて出発したのに、とんだことから殺人事件に巻き込まれた恋人たちを、ユーモアタッチで描く青春推理。表題の長編かと思ったら不思議なものがたりを集めた短編集でした。優秀な息子と女の交換日記が発見され、父親が相手の女を探す「交換日記」は学歴重視で歪んだ少年の姿が印象的。老人が何かいいことをしようと思いつく「善の研究」はラストが二転三転して驚かされ、「霊魂との約束」は心中して生き残ってしまった女が過去の男の幻影に怯える話で、どちらも少し怖い作品。「二つの顔」は王子と乞食をしているスターとサラリーマンの話です。憧れの上司から、今から自殺するという電話がかかってくる「命のダイヤル」、暇な大学生が恋する盲目の少女と出会う映画のような短編「遠い日の草原」、いつも華やかな従姉の影にいる屈折した少女が描かれた「壁際の花」と、コミカルな文章でユーモア溢れる表題作の8編を収録。人が死ぬのに軽いタッチであったり、背筋がぞくっとしたり、物悲しいものが多いのは、表題作の印象による読了感がある思うが、定型的でないところが赤川次郎流なのだろう。 どの話も背筋がぞくっとなるようなお話が多く『霊魂との約束』がとくに怖かった。 幽霊が出てくるオーソドックスなホラー小説とは違うが、叙述的なモダンホラー・サスペンス。視覚障害の少女の話「遠い日の草原」はなんだか心に残る作品。 解説に大人のための高尚な童話とありますが、どちらかといえば若い人に向けて笑いや怖さだけでなく語りかけるものを持った作品集だと思います。

この本の世界を作る1行
「勝手に人のトランクに入って死ぬなんて、失礼だわ」 






(謎)(驚)
 明智小五郎事件簿 Ⅰ
 「D坂の殺人事件」「幽霊」「黒手組」「心理試験」「屋根裏の散歩者」/江戸川 乱歩(著)


明智小五郎事件簿 1 「D坂の殺人事件」「幽霊」「黒手組」「心理試験」「屋根裏の散歩者」 (集.../集英社

¥518
Amazon.co.jp

名探偵明智小五郎ここに誕生!
華麗なる推理を見逃すな。


江戸川乱歩が1925年(大正14年)に発表した『D坂の殺人事件』は、明智小五郎が初登場した記念碑的作品。
明智が関わった事件を時系列に計5編収録した短編集。
緻密な観察に基づく洞察、手紙に隠された暗号の解読、息詰まる犯人との心理戦・・・・・・。
人の心の奥底を見抜く天才が難事件を華麗に解決!

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1没後50年を記念して、江戸川乱歩の作品の中でも名探偵・明智小五郎の活躍を「事件発生順」に並べ、構成した事件簿という試みは斬新です。日本を代表する名探偵の一人、明智小五郎がはじめて登場した「D坂の殺人事件」。退廃的な空気が漂う大正9年9月初旬、“私”はD坂にある白梅軒という喫茶点で明智小五郎と知り合った。偶然、向かいの古本屋で発生した殺人事件。二人は第一発見者となる。犯人は、明智小五郎なのか―。『D坂の殺人事件』『幽霊』『黒手組』『心理試験』『屋根裏の散歩者』の5編を収録。 読んだことある話も、読んだことがあるようなないような話も、読んだ覚えのない話も、ちゃんと読むとやっぱり面白い。しかも時系列に読むと、新しい発見もありそうです。

「D坂の殺人事件」で初登場する明智小五郎は、まだ定職を持たない書生で、本で埋め尽くされた部屋で思索を巡らせ鮮やかな推理を打ち立てる。よくドラマでやる明智小五郎は、もう完成された完璧感がありますが、完璧さはあるもののなんとなく初々しく、痩せ型のもじゃもじゃ頭で服装には無頓着、つねに余裕シャクシャクだが興奮すると頭髪をひっかき回すという変わり者で、どちらかといえば謎解きさえできれば幸せな推理オタクなお兄さんという印象。「心理試験」と「屋根裏の散歩者」が犯人サイドの描写で、綿密な計画と実行と明智に対抗する姿の二段構えの推理が面白い。「心理試験」は明智の捜査や推理が人間の心理に着目していて人間心理の盲点を描いた傑作。「屋根裏の散歩者」は、あの妖しげな雰囲気と犯罪者の心理に着目した推理、探偵対犯人という構図。犯人もエスカレートしていく倒叙ものとしても面白かった。おおげさに言えば100年近くも前に書かれた小説が、いまだに飽きずに読まれていることに納得がいく。年代順の根拠を巻末に書いてあるのがまた興深い。少年探偵団シリーズの挿絵の記憶があってか七三のキチンとしたビジネスマンのイメージでしたが、初期の明智さんは金田一一耕助みたいなモジャモジャ頭だったのが意外だった。 再度、事件発生順に読んでみると、素人探偵として登場した変わり者の明智小五郎が次第に探偵としての地位を確立していく過程が読み取れ、明智の一手一手に追い詰められていく犯人の心理状況は、まるで自分が犯人として追われているようにリアルで胸が高鳴る思いだった。やはりレジェンドは凄い!と改めさせられた。しかも毎月20日刊行の明智小五郎物のクロニクルシリーズ12巻あるらしい、一年間の楽しみが出来た。

この本の世界を作る1行
「この世の中の隅々から、何か秘密な出来事、奇怪な事件を見つけ出しては、それを解いて行くのが僕の道楽なんです」 







(謎)(驚)
 真夜中のマーチ/奥田 英朗(著)

真夜中のマーチ (集英社文庫)/集英社

¥626
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騙し、騙され、また騙す!
現金10億円は一体誰の手に!?


10億円強奪のために集まった即席ギャング三人衆。張り込み、盗聴、カーチェイス・・・・・・次から次へと巻き起こる不測の事態!
完全犯罪を目指して巻き起こされる、スリルあり、笑いあり、スピード感あふれるストーリー展開!
直木賞作家が放つ、痛快クライム・ノベルの傑作。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1怪しげなイベント経営者ヨコケン、フタを開けると平凡な会社員ミタゾウ、ナイスバディのクロチェの25歳の三人がひょんな出会いから一世一代の現金強奪計画が始まった。ターゲットは10億円! 疾走するグルーヴ!相手はクロチェの父親。ヨコケンらが恐れてるやくざのフルテツも相手側に絡み、見つかれば海に沈められるであろう状況ありの、一筋縄ではいかず次から次へと想定外の何かが起こる予感は的中のハラハラドキドキの連続。三人からの視点での3部構成で、時間軸も変わらないから読みやすい。三人が三人ともバラバラ過ぎる個性であるが、それらが交わるケミストリー感が痛快!?  ヨコケンが主役のはずなのに、三田が騙されてからミタゾウとして一緒にコンビ(?)になってからの展開が面白かったです。最後にお金も手に入れ、清々しいラストで2時間ドラマにぴったりだと思います。 相変わらず面白かった~ スピード感溢れる展開で、次から次へと目まぐるしく10億円強奪の為に、ヨコケン、ミタゾウ、クロチェの三人があの手この手で右往左往。ハラハラ、ドキドキ、楽しめました。まさにビックリ箱作家の奥田英朗、ホントに色々な作品を書いてくれます。普通な接点のなさそうな三人の組み合わせがナイスでありました。

この本の世界を作る1行
「なんか、楽しいじゃない。やくざの賭場で偶然出会った男女が、チームを組んで一仕事働く。いいよなあ、青春だよなあ」 





(躍)(哀)(驚)
 学校の怪談/岡崎 弘明(著)

学校の怪談

山田詩子イラスト限定カバー

学校の怪談 (集英社文庫)/岡崎 弘明

¥432
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恐怖と友情と冒険の一夜。
オバケがくれた素敵な宝物。


夏休み前日、取り壊しが予定されていた旧校舎に閉じ込められた小向先生と数人の生徒。
トイレのえっちゃん、鬼島さん、13階段、学校の怪談が次々と現実になって・・・・・・。
怖いけれど、どこかせつないオバケたち。
あの世の扉が開く夏の一夜、大人も子どもも少し成長をする。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1夏になると毎年観たくなる映画、<学校の怪談>。好奇心から始まる子どもの肝試しが、恐怖心とともにほんとうに大切なものを教えてくれる旅に変わっていくところが心地よかった。幽霊を通して子ども時代に戻れるなんて幽霊も悪くないと思った。個々の元暴走族団員の名前が面白かった。怖いけど、笑える場面もある。文章や内容自体はシンプルなものの、小学生だった頃の記憶がよみがえり、懐かしい気持ちになります。あの頃は、確かに学校って怖かったなぁ〜としみじみ。トイレはもちろんのこと、校長室前のモナリザの絵や、美術室に向かう暗い廊下などなど、当時は本気で怖かった。放課後の人気のない校舎にぞわりとしたり、怯えながらも幽霊との邂逅に期待して、無人のトイレを執拗にノックしこっくりさんを呼び立てたあの日。そういうのを懐かしむ年齢になったんだなあと、しんみりし私もオトナになったものです。 埴輪が怖かったなぁ。怪談ですが、ホラーというよりは青春もの。小6の将太くんの精一杯のお洒落な話、「いちご牛乳とコーヒー牛乳どっちが好き?」がかわいい。 将太くんの恋?には胸がいっぱいになりなります。 子ども向けなので、あっさり読めてしまうのと、あまり怖くなかったのが残念です。けど、やっぱり旧校舎といい、仲間といい、素敵なものです。子供達の勇気、見習いたいです。

この本の世界を作る1行
抱き合って泣いたり、喜んだりしている子供たちは、この半日でさまざまな経験をして、少し成長していた。 





(躍)(驚)
 Arknoah(アークノア) 1僕のつくった怪物/乙一(著)

僕のつくった怪物 Arknoah 1 (集英社文庫)/集英社

¥734
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恐ろしい怪物の正体。
それは自分の心のダークサイド。


いじめられっ子のアールとグレイの兄弟は、亡き父の書斎で見つけた不思議な絵本『アークノア』の世界に迷い込む。
元の世界に戻るには、恐ろしい怪物を倒さねばならない・・・・・・。
果たしてふたりは怪物との戦いに勝てるのか?
乙一の人気ファンタジーノベル、待望の文庫化。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1兄弟・アールとグレイは不思議な世界「アークノア」に迷い込んでしまった。もとの世界に戻るためには、恐ろしい〈怪物〉に立ち向かわなくてはならない……。鬼才・乙一のファンタジー長編第1弾! 普通の人間界から不思議な世界アークノアに迷い込んでしまった兄弟の冒険+成長譚。アークノアの世界観と設定が面白く気に入った。そこの住人は死んでも翌朝、死んだ日の記憶をなくして、死んだその場所で生き返る。そして、アールとグレイの兄弟が異分子となって入り込んだ結果、彼らの実社会での引け目が怪物を生み出した。なぜ、創造主は、異邦人の侵入が怪物を生み出す設定を許したのか。そこに奥深い解釈があり唸る。本を通じて異世界に行き、異邦人が訪れることで生まれる怪物により怪異をもたらしてしまうというのは『ナルニア』と『十二国記』風だが、独自の世界設定にいろいろと感心させられること多し。終わり方がおやおやおやー!で、びっくり。こういう続き方でしたか。怪物=心の闇ということで、克服して倒さなければ元の世界に戻れないあたりが少年少女の成長ものとしてよいと思った。乙一さんの残酷ながらもシンプルな文章がお好きな方はぜひ。

この本の世界を作る1行
「わかりやすく言うと、怪物の創造主はおまえたちなんだ。おまえたちの世界観が生命を得てうごきまわっているのだ。」 







(恋)(涙)(哀)
 ホテルローヤル/桜木 紫乃(著)

ホテルローヤル (集英社文庫)/集英社

¥540
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ラブホテルで交錯する孤独な男と女の“性”と“生”。

北国の寂れたラブホテルを舞台にした7組の男女の物語。
心に鬱屈を抱えた男と女は、“非日常”を求めてその門をくぐる。
ささやかな昂揚が過ぎ去った後、また離れ離れになってゆくふたり。
その虚しさ、寂しさ、人生の哀歓をみずみずしく描いた第149回直木賞受賞作。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1釧路湿原を臨む高台にある「ホテルローヤル」。今では廃墟となったホテルを舞台に、時間軸を遡りながら語られる7つの連作短編集でそれぞれの物語が微妙に関わりがあり、時間軸が現在から過去に遡るのが面白かった。暗さやもの悲しさはありますがただそれだけではなくその中で暖かい部分もある話でそういうのが新鮮だった。ラブホテルが舞台のためか、全体的に後ろめたい雰囲気が漂う。色々な人の思いが様々な形で残っているのが段々と分かってくる人間の関係性の変化がおもしろい。ラブホテルと人間くさく生きていく人達がすごくマッチング。とてもいい小説だと思う。ただ、何がいいのか説明しようとするとうーんとなる。性描写のあまりの赤裸々さに言葉を失う。読後は、人間なんてこんなもんだ、という感傷と同時に、だからこそ他人にやさしくできるんだろうな、という達観もある。読みやすく、考えさせられる内容もあり面白かったが、共感できる、というよりも物語として興味深く読んだ感じ。景色の描写が美しく、1本の映画を観ているようでした。

この本の世界を作る1行
客は日が高くても夜を求めてここにくる。後ろめたさを覆う蓋に金を払う。 





(躍)(謎)(驚)
 ばけもの好む中将 平安不思議めぐり/瀬川貴次(著)

ばけもの好む中将―平安不思議めぐり (集英社文庫)/集英社

¥594
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雅な都に出没する魑魅魍魎。
麗しき貴族が追う謎の正体は!?


切れ長の瞳、女人と見まがうたおやかな容姿。
家も身分も申し分なしの左近衛中将宣能には、たったひとつ、怪異大好きという悪癖があった。
お人好しの若貴族・宗孝は、否応なしに中将の怪異探しに巻き込まれ、花の京を走り回るはめに――。
大好評の平安貴族冒険物語シリーズ!

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1ときは平安。左近衛中将宣能は、家柄もよく容姿端麗で完璧な貴公子だが、怪異を愛する変わり者。中級貴族の青年・宗孝は、なぜか彼に気に入られ、都で次々と起きる怪異の謎を宣能とともに追うはめになり……。新感覚の平安冒険譚、好評シリーズの第1弾。 イケメンエリートなのに、”ばけもの好む中将”とあだ名されるオカルトオタクな左近中将宣能さま&ヘタレなのに手練れでシスプリもびっくり12人の姉のいる右兵衛佐宗孝が真相を解明しちゃう平安あやかし譚。まぁその実は人間の仕業、という所を見破って人の憂いを晴らす辺りは簡易版京極堂っぽい。文字に対する共感覚の持ち主である中将の幼い妹や、奔放すぎて家を飛び出し偽斎王してたり男装してたりホント今何してんのか解んない宗孝の姉の一人、がとても魅力的。感触としては現代風で平安の色は添え物のようだが、全体的にライトな感じで解りやすさ読み易さは美徳。故に痛快さもあり、宗孝の隠されている(かもしれない)能力も気になるので、 続編も読みたい所存です。 「怪異は愛でるものだよ…」なんて、サラッと口にする宣能が素敵だ。平安時代だって、今と変わらず涙したり、嫉妬したり…当たり前の感情が溢れていたのね。そしていつの時代も一番怖いものは「人間」ってことか……。

この本の世界を作る1行
「何を言う。われらはともに闇に挑む同志なのだよ」「闇に挑む?」いつからそんな間柄になったのか、宗孝にはまったくおぼえがなかった。 





(躍)(謎)(哀)
 解/堂場 瞬一(著)

解 (集英社文庫)/集英社

¥価格不明
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親友だった男ふたりの人生が平成という時代の波に揺らぐ。

平成が始まった1989年、政治家と小説家になる夢を語り合った大江と鷹西。
社会に出て志を実現した彼らだったが、封印されたはずの殺人事件により対峙することに・・・・・・。
バブル崩壊、阪神・淡路大震災、IT革命、そして――。
平成という時代を照射する社会派ミステリー。

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)189年大学を卒業したバブル世代の2人が主人公。政治家志望で官僚になる大江と、小説家志望で新聞社に入社する鷹西は、同志として日本を変えていくことを誓う。95年の阪神淡路大震災、ウィンドウズ95の登場と時代を大きく変えた事件を物語に絡め、40代以上の読者が我が人生を振り返りながら読めるように工夫されている。米国留学中にITの可能性に目覚め、ベンチャービジネスに身を投じる大江。絶対に成功する自信があるとはいえ、資金確保のために殺人を犯すのはあまりに短絡的で愚かである。こうして大江はIT化の波に乗ってビジネスとして大成功をおさめ、やがて政界への転身をはかり、鷹西も新聞記者から時代小説家への転向で売れっ子作家になり、それぞれ成功を果たした二人の男。最後、殺人事件が解決するのかなと思っていたら、震災でうやむやになって、追及する側があきらめてしまうという結末は松本清張っぽい曖昧さで・・・・すっきりしない。 結末の国難かもしれないという一言に妙に納得させられてしまうのも、すこし強引に感じた。3.11前に執筆し始めたのに、まさか、最後に東北の震災が出てくるとは…。 堂場瞬一の本でこんな風に登場人物のベースが窺えるのは初めてでした。この終わり方を中途半端と見るか、英断と見るかで評価は正反対になる。どちらの結論になるにしてももう少し詳しく掘り下げて書いて欲しかった。ただここに二つの震災が描かれていることはさすが堂場瞬一だなあと思ったし、約20年にわたる物語なのに時の流れに過不足を感じさせないのはさすがの筆力だと思いました。解説を読んで納得はしたものの、やっぱり小説なので最後は(登場人物のいう通り)きちんとカタがつく方が好きだなあ。 そしてきっとそちらになるんだろうなというハッキリ描かれない結末については、やっぱりそれでいいのかなあと思ってしまう。 解答の「解」って思って読んでたけど、確かに「解ける」の意味も持ってる字なんだよな・・・。

この本の世界を作る1行
一つの国と、一つの命。どちらが重い? こんな時でなければ、俺は間違いなく「人の命は国より重い」と断言するだろう。 






(恋)(謎)(驚)
 あなたが愛した記憶/誉田 哲也(著)

あなたが愛した記憶 (集英社文庫)/集英社

¥691
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愛した人の記憶に導かれ明らかになる衝撃の運命!

興信所を営む栄治の前に、自分は栄治の娘だと主張する女子高生が現れ、ふたりの人捜しを依頼する。
調査するうち、世間を騒がす残虐な連続監禁殺人事件にまで巻き込まれて・・・・・・。
この子は何者なのか。犯人の本当の正体とは――。
常識を超えるノンストップホラーサスペンス!

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1一歳にも満たない子供を殺した曽根崎。周りの誰もが彼がそんなことをするなんて!のプロローグから始まる。OL連続事件→曽根崎の前に現れた娘の民代→遺伝による記憶・人格継承→更なる事件。最初は姫川シリーズのような猟奇的連続殺人事件の本格ミステリーかと思いきや、途中からちょっとSF的な内容に変化していく。現実味と不思議のちょうど中間のような、「もしかしたらこんなこともあるんじゃないかな」っていうギリギリのラインがうまい。 初から場面がコロコロ変わり、軸のストーリーはいつ展開するんだ?と思っていると突然吐き気がするようなシーンが始まります。ホラーというかファンタジーというか…面白かったけど、罪のない人が残酷に殺されていく話は読んでいて辛いものがある。普通に恋愛して子供を作って受け継いでいくという選択肢はないのだろうか。なんか納得がいかない。普通に考えて連続殺人犯に強姦されてできた子を出産しようと考える人は、いないに等しいと思うんだよね。なのにどうして武彦はわざわざそんな手段を選ぶのか?、他に方法がないならまだしも、堅実な方法だってあるのに…何故!? ホラーであり、ミステリーであり、恋愛要素もあり、ずーっと疑問ばかりがたまり、どうなるのか?誰なのか?何なのか…とにかくその疑問を早く解消したくて読み手は一気にのめり込んで、最後に 一つ一つがつながりとてもスッキリする開放感が脳内を活性化させ誉田節中毒になる。 これから読まれる方は、プロローグを飛ばして、1から読み始めるほうがいいかも。 それを差し引いても、十分に楽しめた1冊ですから。

この本の世界を作る1行
 「いいよもう。そんな下手な芝居しないで。分かってんだから、あんたの正体。あんたが何者かってことは、この私が一番、よく知ってんだから」




(躍)(謎)(驚)
 バッドカンパニー/深町 秋生(著)

バッドカンパニー (集英社文庫)/集英社

¥605
Amazon.co.jp

どんな汚れ仕事もカネ次第。
超絶ブラックな警備会社!


人材派遣会社『NAS』の社員は元警官、元自衛官など屈強な男揃い。
経歴・年齢不詳の美女・野宮社長が受ける仕事は、暴力団や国際テロリストに裏カジノと、金になるならなんでもあり。
息もつかせぬアクションと、化かしあいが展開する短編7作。
注目作家の新たな代表作!

…‥‥‥…★
Arikaアイコン(小)1金さえ積まれれば警護から拉致まで非合法で危険な仕事も請け負う、裏社会向け人材派遣会社。街中だろうが躊躇なく銃をぶっ放し、刃物でぶすりとしてくれるので気持ちいい。メインキャラは元自衛官の人間凶器・有道、元警察の情報担当・柴、経歴不詳やり手女社長・野宮。一話目は正直いうと「ハズレかな」と思ったが、読み進むうちにグルーブがかかってきて、どんどん面白くなった。登場人物は一緒で7話に分かれており各話ほぼ完結です。なので各話短めでサクッと読めます。短いせいもあるとは思いますがスピーディな展開! そしてアクションが熱いです!ウォ~野獣の血が騒ぐ。いいぞいいぞ~!ぶちのめせ!ド派手に暴れろ~! まあ現実味なんかはもちろんありませんが、無駄を削ぎ落とした文章、話もテンポよく、コミカルさや敵キャラも魅力。今日もヤバイ世界でヤバイ相手に大暴れ・・・。社長もやばければ、社員もやばい。そのうちドラマまたは映画化されてもくらい役者は揃っている。これ、シリーズ長編求む! もし、次作があるならば、有働以外の過去も知りたい!

この本の世界を作る1行
「私はこの仕事が好きなだけ。博打よりもスリル満点じゃない!」