ミステリー小説の90%は恋愛小説。
登場人物はあこがれの街に住み、料理の達人だったり愛犬家だったり。
そんなディテールの面白さと魅力的な登場人物、ときにおかしくて、ときにスリリングな謎解きが一体となったミステリー小説の楽しさを体験してみて!?
ミステリー中毒初期症状にはシリーズ読破をおススメ!
シリーズ化されてる小説は人気度が高く、主人公とレギュラー陣との交流も楽しいもの。
その中で、圧倒的な数を誇るのがペリイ・メイスン・シリーズ。
はじめはポケット・ミステリーとして80冊も刊行。
現在は文庫になっていて、その数42冊。
メイスン・シリーズのような長期シリーズは、初心者がどれから入っていくか迷うんですよね。
しかも、メイスン・シリーズは、ポアロ・シリーズの『アクロイド殺し』やカーの『火刑法廷』のように、ミステリブックガイドなどでも代表作が紹介されていないため、どれを手にとって良いかわからないのがちょっと残念!
87分署シリーズも文庫では35冊も。他、A・クリスティやE・クインなど作品点数が多い作家にも注目を!
どんなミステリーを読もうかな、と迷ったら読破をお勧め。
弁護士ペリイ・メイスン・シリーズ全82作中25冊目の作品。
『殴られたブロンド』/E.S.ガードナー。
本書は1944年の第25作。目の周りにあざをこしらえ、寝間着の上にコートをはおっただけのブロンド女が、メイスンを訪れる。働いていた家のドラ息子をはねつけたため、殴られたうえ泥棒のぬれぎぬまで着せられて、やみくもに飛び出して来たというのだ。ごく単純な事件…のはずだったのが、あれよあれよという間に殺人事件に発展してしまう、かつてない窮地に立った名弁護士の苦闘&シリーズ中でも群を抜いて劇的な展開を見せる代表的傑作。
さて本書ですが、最後の最後まで犯人がまったくわかりませんでした。
そういう意味では傑作かもしれませんね。
メイスンもモースのように、少し妄想的な推理をしますし。というか、そうしなきゃ事件が解決できない!
古い作品でワンパターンだけど、文体もストーリー展開もキビキビしていて、とても読みやすく、理屈抜きに楽しめる。
テンポの速いメイスン物の中でも、一二を争う目まぐるしい展開であるが、単に目まぐるしいだけではなく、プロットもなかなか良く出来ている。
ブロンド女の一見単純な災難が、なぜ殺人を引き起こすきっかけになったのか…という謎が秀抜。
いつもの事ながら、メイスンとデラとドレイクのユーモラスなやりとりも楽しい。
メイスンの命知らずの無謀運転に、デラとドレイクの心臓が凍ってしまうクライマックスは、特に笑える。
メイスンが最後に見せる粋なはからいも印象的。
「87分署シリーズ」衝撃の第一作
『警官嫌い』/エド・マクベイン。
警官嫌い (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 13‐1)) (1976/04/20) エド・マクベイン 商品詳細を見る |
またもや警官が殺された! 狙撃犯は警察に恨みを抱く者か? はたして犯人の目的は?
本書は、その後の推理小説に新分野をひらいた「87分署シリーズ」の第一作目。
初作は連続警官殺しを扱っているが、これはクリスティの有名な作品の捻り。だが、刑事達の焦りという心理的要因と絡めて描かれるので、トリックを気付かせない巧みな創り。同じ警察官を殺された事で、怒り心頭に発する刑事たちの様子も良く描かれている。この刑事たちの怒りが爆発するという設定は、後に「クレアが死んでいる」で更に強調されている。
他の警察署ものにも多大な影響を与えた87分署シリーズの原点であり、作者の手腕を縦横に示した秀作。
シリーズの主人公キャレラやマイヤー・マイヤー等が繰り広げる冗談に溢れた野卑な会話。
部屋に立ち込める煙草とコーヒーの香り。
そして、定番ではあるが刑事達のチームワーク…。
読み出すと止まらなくなり、次も、次もと欲しくなります。