ミステリーがいっぱい!(その8)女性探偵のライフスタイル研究の3冊 | *音 楽 画 廊 2*

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Arikoのその日の気分で内容がかわります♪

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■謎解き+αのユーモアミステリーの世界へ、ようこそ・・・!

ミステリー小説の90%は恋愛小説。

登場人物はあこがれの街に住み、料理の達人だったり愛犬家だったり。

そんなディテールの面白さと魅力的な登場人物、ときにおかしくて、ときにスリリングな謎解きが一体となったミステリー小説の楽しさを体験してみて!?

さて今回は、女性探偵の3冊。



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女性探偵は安定的に大人気!

現代女性探偵のライフスタイル研究として参考になりそうな3冊を選んでみました。

その代表として、タイトルにアルファベットがついていることで知られるアルファベットシリーズ第1弾。



『アリバイのA』/スー・グラフトン

アリバイのA (ハヤカワ・ミステリ文庫)アリバイのA (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(1987/03)
スー・グラフトン

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「わたしの名前はキンジー・ミルホーン。カリフォルニア州でのライセンスを持った私立探偵である」と始まる自己紹介文が「おとといある人物を殺害し、その事実がいまも胸に重くのしかかっている」と続く。

私立探偵が殺人? 意表をつく語り出しに、のっけから強烈に引き込まれる。

主人公は、キンジー・ミルホーン。年齢32歳、独身、離婚歴2回、ペットなし、植木なし。たいてい、一人で捜査をしている。銃器などの描写は少し甘いかなと思いましたが、主人公をはじめ魅力的な人物がいっぱいです。

大学での教鞭もとっている作者のスー・グラフトンは、これが初めての小説とは思えないほどのストーリー展開で、女性作家を感じさせないハードボイルドなタッチは米国ならではのものかな…。





『ミス・メルヴィルの後悔 』/長野 きよみ、イーヴリン・E・スミス 他

ミス・メルヴィルの後悔 (ミステリアス・プレス文庫)ミス・メルヴィルの後悔 (ミステリアス・プレス文庫)
(1989/03)
長野 きよみ、イーヴリン・E・スミス 他

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上流階級出身で、きちんとした教育をうけた40代のハイミスで、画家でパーティもぐりで、そして殺し屋!

彼女を示す言葉をまとめてしまうとなんとアンバランスなのに、読んでみるとしっくりくるのは何故だろう?

彼女といっしょにハラハラしてみたり、世の中に皮肉な気持ちになってみたり、そして彼女の周りにはなんとユニークな人物がそろっていることか!?恋人アレックスや友人とのやり取りなど本筋に無関係な脱線も多くやや冗長だが、ニューヨークの風俗が生き生きとリアルに描かれていて、それを読むだけでも楽しい。 最後の大団円もとても嬉しい。




『女には向かない職業』/P.D.ジェイムズ

女には向かない職業 (ハヤカワ・ミステリ文庫)女には向かない職業 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(1987/09)
P.D.ジェイムズ

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探偵稼業は女には向かない。ましてや、22歳の世間知らずの娘には―誰もが言ったけれど、コーデリアの決意はかたかった。自殺した共同経営者の不幸だった魂のために、一人で探偵事務所を続けるのだ。

依頼を受けた自殺事件を調査するうちに、重圧を担ったコーデリアが、ともすれば押しつぶされそうになりがら必死にこらえ、苦闘していく姿がとても健気で初々しく、敢闘精神にあふれていて、彼女の人間的な魅力を感じました。

そして本書のラストがまた素晴らしかった。コーデリアがある人物と出会い、対話するシーンは、それまで彼女が背負ってきた罪悪感と重圧感が、この場面でふっと解き放たれたように思えて、ほうっとため息を吐いていました。ひたひたと胸に迫ってくるもの、心に静かに満ちてくるものがあり、感動。





■ ■ 読 書 後 記 ■ ■ 

『アリバイのA』の女性探偵は、年齢32歳、独身、離婚歴2回、ペットなし、植木なしの庶民派。

『ミス・メイヴィルの後悔』の女探偵は、プライドが高いが金がない様がおかしくて好感度高めのキャリア派。

『女に向かない職業』の女探偵は、22歳の新人で、そのひたむきな姿勢に共感できる健気派。

この3冊はイチオシ! お気に入り探偵を見つけてシリーズを読み進めてみて?




※女性探偵モノ小説を読むにあたり、手引書がわりに参考になる2冊。


『女性探偵たちの履歴書』/大津波 悦子、柿沼 瑛子 他

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今やところ狭しと活躍する小説の主人公である女性探偵たちの「生い立ち」「この一言」「探偵法」「恋愛観」「趣味」さらに「作家情報」も加え、彼女たちのすべてをウォッチ。

小説の女性探偵を知るための初の本格的カイド・ブックでございます。




『ミステリー気になる女たち』/西尾 忠久

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金髪、ボイン、セックスアピールの女性が登場する50年代のものからシングルである事は恥ではないが苦痛になる事もある90年代のヒロインまで、探偵小説120編にみる女性像の変遷をたどり分析した一冊。

目次を見ると、1950年代以前から、90年代まで良くぞここまでと思うほどの、海外ミステリーが並べられていて、時代とともに移り変わる女性像を分析するうえで参考になりました。