コンニャク屋漂流記 | 雑読日記

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読んだ本の感想など

本の雑誌の2011年ベスト10第5位でしたが

とても面白かったです。大当たりでした。

星野博美「コンニャク屋漂流記」です。


「コンニャク屋」とは、著者である星野氏の

祖父・量太郎さんの実家の屋号。

しかし、その商売が漁師というのだから、

なんとも面白い名前です。


本書は、その「コンニャク屋」のルーツをたどる

ノンフィクションであります。


その実家は房総半島の太平洋側、いわゆる外房で

漁師を営む家でしたが、現在は廃業しており

著者のはとこは別の仕事をしているとのこと。


「コンニャク屋」から分かれた著者の祖父は

東京に出てきて、五反田で町工場を始めたそうで、

話は昭和初期における、この二つの家が

どういうふうに暮らしていたかから始まります。


いやもう、最初の50ページぐらいで感激が

身体を貫きまして、ちょっとうるっときました。

ほんの数十年前の、貧しくとも熱気にあふれた生活と

家族や親戚とのつながりに、胸が熱くなります。


やがてルーツ探しの旅は紀州・和歌山へとつながりますが

ここに至るまでの話もなかなか興味深く、

ひとの暮らしの積み重ねが「歴史」であるということが

実感できるぐらい分かったように思います。


コンニャク屋漂流記/星野 博美
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