この記事の続きです。
→ 蒼路の旅人
「守り人シリーズ」の最終話第一巻となります、
上橋菜穂子「天と地の守り人 ロタ王国編」です。
前作「蒼路の旅人」のラストで、ロタ王国へと
苦難の道のりを歩み始めたチャグム。
今作ではそのチャグムを助けるために
バルサがロタ王国へと赴きます。
かすかな手掛かりを元にチャグムの足取りを
なんとかたどってゆくバルサですが、
その中で、新ヨゴ皇国、ロタ王国、カンバル王国といった
北の国々が置かれる複雑な状況に気付かされます。
どの国も、ある者は国家と民の存続のために、
ある者は自身の権力の保持のために、
それぞれの利害の中で表に裏に力を行使している。
チャグムはそんな政治力と暴力の綱引きの渦中に
徒手空拳で飛び込んでいったようなもので、
バルサと会い、多少の味方を得たとしても
いまだ蟷螂の斧に過ぎません。
自らの信じる道を力強く歩むチャグムですが
いまも彼は、サンガルの船から飛び降りたときと同じ
暗い海の中をさまよっているようなものです。
今後どうなるのか、心配です。
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