と言ってしまってよいと思います。
塩野七生「ローマから日本が見える」です。
内容的には、最終章の「ローマから日本が見える」と
特別付録「英雄たちの通信簿」以外は、
「ローマ人の物語」読者にとって目新しいものはありません。
塩野氏の意見である、元老院と55年体制下の自民党が
人材のプールという点で似ているという意見は、面白いと思ったものの
元老院のように自民党がうまく機能したとは思えません。
本書の中でも語られていますが、日本は官僚制がこれ以上ないほど
うまく機能した国であり、いまはそれが実情にそぐわなくなっていて、
ローマが共和政から帝政に移行したように
官僚制を変革してゆくことが出来るかどうかが、
今後の日本の課題である、という指摘のほうが的を射ている気がします。
そして、悪い点の犯人探しをするよりも、現状にあった新しい体制なりを
模索するほうが先なのではないかという意見も傾聴に値します。
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