楽毅[四](再読) | 雑読日記

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読んだ本の感想など

この記事の続きです。
→ 楽毅[三](再読)

歴史は勝者の物語ですが、同時に敗者の物語でもあります。
本書における敗者は、三名。

自分の子供に裏切られて覇道の途上に朽ちた趙の武霊王。
天下の英雄・孟嘗君を放逐し、楽毅に滅ぼされかけた
(その後、別のものに滅ぼされた)斉の泯王、
すべての国民が尊崇してやまない楽毅をただ独り中傷し、
ついに楽毅も斉も失ってしまった燕の恵王。

勝者の事績を追うだけでなく、敗者がなぜ敗者となったのか
ということも、勝者よりは確実に敗者に近い我が身としては、
教訓として知らなければいけないと感じます。

娯楽と勉学がひとつになる、という素晴らしさが
宮城谷昌光氏の小説にはあると言えるでしょう。

久し振りに読みましたが、とても良い体験でした。


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