大きく口を開けたときの、口腔内の器官の配置を示した教材です。
口腔は口裂から咽頭までの空間で、口腔粘膜は重層扁平上皮からなります。
永久歯(大人の歯)は上の歯が16本、下の歯が16本あります。正中線をはさんで左右の歯が対称に並んでいるので、歯は上下左右がそれぞれ8本ずつ、合計32本あります(前から切歯8本、犬歯4本、小臼歯8本、大臼歯12本)。
第三大臼歯は親知らず(智歯)ともいい、20歳前後に生えます。第一大臼歯は6歳臼歯ともいい、6歳頃に生えてきます。
乳歯(子供の歯)は上下左右とも上図の「*」の数しかありません。つまり、大臼歯がありません。上下左右それぞれ5本ずつの合計20本あります
(前から切歯8本、犬歯4本、小臼歯8本)。また、乳歯の名前は永久歯とは少し異なります。
    中切歯→乳中切歯
    側切歯→乳側切歯
    犬歯→乳犬歯
    第一小臼歯→第一乳臼歯
    第ニ小臼歯→第ニ乳臼歯
口蓋は口腔の天井にある鼻腔との仕切りです。自分の舌を上に向けて動かすと触れられる場所です。
前2/3の部は粘膜の下が骨でできており、触れると硬いため、硬口蓋といいます。
また、後1/3の部は粘膜の下が筋でできており、触れると軟らかいため、軟口蓋といいます。
軟口蓋の後部中央には口蓋垂(のどちんこ)があり、嚥下の際に挙上し、飲食物が鼻腔に入らないように働きます。いびきは、睡眠中に軟口蓋の筋がゆるみ、呼吸とともに振動したために起こります。
口蓋縫線は口蓋中央の前後に走る高まりで、胎生期に左右の口蓋が真ん中で癒着した名残です。
口蓋弓(口蓋垂の両脇にあるアーチ)と舌根(舌の根元)で囲まれた空間を口峡といい、ここが口腔と咽頭の境の部となります。
口蓋弓には二重のヒダがあり(前ヒダは口蓋舌弓、後ヒダは口蓋咽頭弓)、間には梅干のタネ状の口蓋扁桃があります。また、舌根には舌扁桃があります。これら扁桃はリンパ組織でできており、口腔から入ってきた異物が内部に侵入しないよう、この部で排除する関門のような働きをします。
舌は口腔底にある横紋筋の塊で、咀嚼(かむ)・嚥下(飲み込む)・発声・味覚と、役割が多い器官です。
舌の前2/3の部を舌体、舌の後1/3の部を舌根といい、境界線には逆Vの字をした分界溝という溝があります。
舌の上面(舌背)には舌乳頭という突起が密生しており、食物をなめ取りやすくしたり、味覚の感受に関わります。分界溝の前には有郭乳頭が8〜12個、一列に並んでいます。
舌の下面の正中には、舌小帯という薄い膜があります。舌小帯は新生児のときは舌の先端付近まで付いていますが、舌が大きく成長していくにつれて、先端から中程くらいまで後退します。
舌小帯が成長とともに後退せず、付着位置が先端のままだと、舌を突き出す動作をした場合、先端が下面から引っ張られるためにハート形になったり、舌の運動障害が起きたり、構音障害が起きることもあります(舌小帯短縮症)。
舌の根元で舌小帯の両側には舌下小丘という盛り上がりがあります。そこには針の穴ほどの小さなくぼみがあり(ワルトン管)、唾液腺(顎下腺と舌下腺)が開口します。
舌小帯から斜め後外方に向かう盛り上がりを舌下ヒダといい、舌下腺が開口します。
観察後は、口を閉じることも可能です。

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