以前にも腹膜の教材は作っていますが、この度、さらに詳細なものを作ってみました。
以前の腹膜教材はこちらを参照↓

腹膜①

腹膜②

今回も腹腔全体の腹膜の様子を表しました。
臓器の位置関係は↑こんな感じです。
臓器をおおっている半透明な膜が腹膜です。前腹壁側も腹膜でおおわれていますが、それを取り除き、内部の腹膜の様子を見た教材になります。
腹腔内にある間膜の位置関係です。
では、それぞれの臓器を細かく見ていきましょう。
肝臓は肝鎌状間膜により、右葉と左葉に分けられます。肝鎌状間膜は、肝臓の腹側にある前腹壁と肝臓の間に形成される間膜で、臍に始まり肝臓に至るまで体の正中線に一致して上行し、横隔膜をおおう壁側腹膜に移行します。
肝臓のほとんどが腹膜におおわれていますが、上面(横隔面)の後部だけは腹膜におおわれず、横隔膜に直接接しています。腹膜におおわれていない肝臓の部を「無漿膜野」と言います。

胆嚢は肝臓の下面に接しており、肝臓・胆嚢は一緒に腹膜におおわれます。
肝臓下面(臓側面)では肝臓の前面と後面をおおっていた腹膜が2枚合わさり、小網を形成します。小網は、肝臓下面から胃の小網までいく肝胃間膜と、肝臓下面から十二指腸までいく肝十二指腸間膜からなります。肝十二指腸間膜の内部を、総胆管、門脈、固有肝動脈などが通ります。
胃の前壁・後壁をそれぞれおおった腹膜は大弯側で合し、大網を形成します。
大網はエプロン状の間膜で、腹部内臓の前面に垂れ下がり、
折れ返って横行結腸に付着し、横行結腸間膜に癒合しながら後腹壁に終わります。大網は多数の血管が分布し、脂肪組織に富みます。腹腔内の液体を吸収し、腸と腹壁の間の空間を埋める役目をしますが、それだけでなく、腹腔内の炎症部位に癒着し、炎症が腹腔全体に波及しないような役割ももちます。
小網と大網、そして後部の壁側腹膜の間には空間ができ、その部を「網嚢」といいます。網嚢は網嚢孔(ウィンスロー孔)を通じて、ほかの腹腔と交通します。
大網をめくり上げ、後腹壁側を観察してみます。十二指腸、膵臓、腎臓、副腎はいずれも間膜をもたない腹膜後器官です。十二指腸と膵臓は前面のみ腹膜におおわれ、後面は後腹壁に埋まります。腎臓と副腎は完全に後腹壁に埋まっています。
空腸と回腸は全ての面が腹膜でおおわれ、前面と後面の腹膜が合して小腸間膜を形成し、後腹壁に向かい壁側腹膜へと移行します。血管、神経、リンパ管はこの間膜の中を通って小腸に出入りします。
小腸間膜が壁側腹膜に移行するところを腸間膜根といい、第2腰椎の左側から右腸骨窩に向かって斜走するように存在します(長さ15cm)。この部から小腸間膜は扇を広げたように始まります。空腸と回腸は間膜を介し、後腹壁からぶら下がっているため、移動性に富みます。
回腸から移行する盲腸と上行結腸は間膜をもたず、前面のみ腹膜におおわれ、後面は後腹壁に埋まります(盲腸は短い結腸間膜によって可動性をもつこともあります)。
盲腸下部の後内側壁から突出する虫垂は全ての面が腹膜におおわれ、虫垂間膜をもちます。
下行結腸も間膜をもたず、前面のみ腹膜におおわれ、後面は後腹壁に埋まります。S状結腸は全ての面が腹膜におおわれ、S状結腸間膜をもちます。
直腸は間膜をもたず、前面のみ腹膜におおわれ、後面は後腹壁に埋まり、肛門となり、外界に開きます。
腹腔の下部に位置する膀胱は上面のみ腹膜におおわれます。
女性生殖器は子宮広間膜という間膜が存在します。子宮広間膜は子宮と卵管を上面からおおっている前後の腹膜が合して子宮の両側に垂れ下がった膜です。ちょうど晴れ着の袖のようになっています。

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