呼吸器系とは、外呼吸を行うための器官系で、鼻腔→咽頭→喉頭→気管→気管支→肺という流れで外気を肺胞内に取り込み、肺胞の周りに網状に存在する毛細血管との間で酸素と二酸化炭素のガス交換が行われます。
以前、喉頭軟骨の構造を説明した際に気管の構造についても簡単に説明しましたが、今回はもう少し細かく説明したいと思います。
気管は、第6頸椎から第5胸椎の高さ(長さ12cm)にある細長い管で、20個の気管軟骨とその間にある輪状軟骨が交互に積み重なってできています。前から見ると、筒状の軟骨に見えますが‥‥
実は気管軟骨は馬蹄形(C字形)をしており、後面には軟骨はありません。後面には膜性壁(膜様部)と呼ばれる平滑筋がついており、軟らかい組織になっています。気管の下方にある気管支も同じ壁構造となります。
後面が筋でできているということは、収縮することが可能です。筋が収縮すると、気管の直径は小さくなり、気道(空気の通り道)は狭くなります。
平滑筋なので、自分の意思で収縮させたり、弛緩させることはできませんが、交感神経や副交感神経の働きにより、気道は狭くなったり広くなったりします。
交感神経が優位になると、ヒトは闘争・逃走モードになります。その際、膜性壁の平滑筋は弛緩し、気道を拡大し、体内にたくさんの酸素を取り込み、緊急状態に対応します。
副交感神経が優位になると、ヒトはお休みモードになるので、逆に気道は縮小します。春や秋などの気候が穏やかで気持ちのいい季節や、布団に入りリラックス状態になるときには、副交感神経が優位になります。そうすると、気道は狭くなり、咳が出やすくなる場合もあります。風邪をひいたとき、布団に入ってから急に咳が出たり、春や秋に気管支喘息の症状が出やすいのは、そうした理由になります。
気管の後ろには食道があります。食道は普段は扁平な形をしていますが、食べ物が入ってくると、その大きさに合わせて食道を膨らませながら、食塊を胃まで運びます。

気管軟骨が筒状でなく、後面が軟らかい筋構造であるからこそ、食塊は途中でつまることなく、スムーズに胃まで移動することが可能になります。

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