錐体路〜脳が命じたあと、筋が動くまでの道のり〜

前回使用した教材を使用して、伝導路の経路を表してみます。今回は「錐体路」について説明します。錐体路は大脳皮質の運動野から起こった指令を骨格筋に伝える下行性の伝導路で、随意運動に関係します。

錐体路で関わるニューロンの数は２本です。大脳→脊髄までのニューロンを上位運動ニューロン(一次ニューロン。青いヒモ)、脊髄→骨格筋までのニューロンを下位運動ニューロン(二次ニューロン。黄色いヒモ)といいます。

まずは上位運動ニューロンです。

大脳皮質運動野からの運動指令を受け取った上位運動ニューロンは内包を通り、

中脳の大脳脚→延髄の錐体(大部分は交叉「錐体交叉」)→反対側の脊髄側索と下行していく、脊髄前角細胞に終わります。

次に下位運動ニューロンです。

先ほど上位運動ニューロンが脊髄前角で終わったので、ここで下位運動ニューロンとシナプスを形成し情報の伝達が行われます。下位運動ニューロンは前角から始まり、前根を通り、目的とする骨格筋まで行き、運動が行われます。

以上のルートを「外側皮質脊髄路」といい、錐体路の中の80%を占めます。残り20%は「前皮質脊髄路」といい、上位運動ニューロンが錐体で交叉をせず、同側の脊髄側索を下りつつ、順次交叉し、すぐに反対側の脊髄前角に終わるという経路です。