生理学を学ぶ際、基礎・栄養と代謝・運動など、さまざまな単元で出てくるのが内呼吸(好気呼吸)です。今回は1モルのグルコースから遊離される686kcalのエネルギーと、解糖系・TCA回路・電子伝達系を経て得られる38ATPとの関わりについて説明したいと思います。
まずは化学式
C6H12O6+6O2→6H2O+6CO2+686kcal
*C6H12O6→グルコース(ブドウ糖)
*O2→酸素
*H2O→水
*CO2→二酸化炭素
つまり、グルコースと酸素から、水と二酸化炭素とエネルギーが生まれます。細胞が酸素を取り入れて二酸化炭素を出すので、これを「内呼吸」と言います。
そしてこれはATPです。ATP(アデノシン三リン酸)は生体で用いられるエネルギーの保存および利用に関与する物質で、アデニン(塩基)とリボース(糖)からなるアデノシンに、3個のリン酸が結合したものです。これはとても便利な「容器」で、エネルギーを使いたいときまで収納しておくことができます。
では、どのくらいのエネルギーを収納できるのか‥‥「7kcal」収納できます。この容器を開けて、中身のエネルギーを取り出したいときにはフタを開けないといけません(それを加水分解と呼びます)。加水分解することでATPはADP(アデノシン二リン酸)とリン酸になり、そこで中に収納されていた7kcalのエネルギーも放出され、これがさまざまな生体活動に利用されます。
合計38ATPの中には「38×7kcal=266kcal」のエネルギーを収納でき、この収納エネルギーは必要に応じて利用されます。
では、残りのエネルギー
「686kcal−266kcal=420kcal」はどうなるんでしょうか。それは「熱」に変わります。私たちが体温を平熱に維持できているのは、この熱があるお陰なんです。