頸部の筋の層構造模型です。
●表層
頸部を外側から観察してみると、表層の筋のメインは胸鎖乳突筋と僧帽筋になります。
①後頭三角
・胸鎖乳突筋後縁
・僧帽筋外側縁
・肩甲舌骨筋下腹
で囲まれた部です。
浅頸動脈、肩甲上動脈・神経、後頭動脈、外頸静脈、腕神経叢の上神経幹、副神経脊髄部、小後頭神経が位置します。
②肩甲鎖骨三角(鎖骨上三角)
・肩甲舌骨筋下腹
・胸鎖乳突筋後縁下部
・鎖骨上縁
で囲まれた部です。
大鎖骨上窩に相当し、鎖骨下動脈が通ります。ほかにも、鎖骨下動静脈、浅頚動脈、肩甲上動脈・神経、外頚静脈、腕神経叢の中・下神経幹が位置します。
※斜角筋隙
前斜角筋、中斜角筋、第一肋骨で囲まれた隙間で、斜角筋三角とも呼ばれます。斜角筋隙を腕神経叢と鎖骨下動脈が通過します。
●中層
浅層にある胸鎖乳突筋、僧帽筋を上にめくって、深部にある筋が見えるようにしてみました。
頭板状筋と肩甲挙筋の間には、本来なら頸板状筋があります。頭板状筋、頸板状筋、肩甲挙筋の3筋は側頸部でほぼ平行に走行しています。
肩甲挙筋の前には斜角筋が並んでいます。前から前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋です。
斜角筋の浅層で、斜角筋の筋の走行と垂直に走っている筋は舌骨下筋群の肩甲舌骨筋です。
●深層
浅層にある胸鎖乳突筋と僧帽筋、さらには
中層の半棘筋と頭板状筋を上にめくって、
最深層にある筋が見えるようにしてみました。
半棘筋の下には「後頭下筋群」があります。
・小後頭直筋
・大後頭直筋
・上頭斜筋
・下頭斜筋
上記、4筋のうち、大後頭直筋・上頭斜筋・下頭斜筋で囲まれた三角を「後頭下三角」といい、椎骨動脈や大後頭神経が走っています。
後頭下筋群は頭部を支える筋群のため、長時間のデスクワークやスマホなどによる悪姿勢、猫背での作業は後頭下筋群が緊張する原因となります。
小後頭直筋は後頭骨に付着するだけではなく、脊髄や脳を取り囲む硬膜にも付着しています。後頭下筋群が凝ってくると、小後頭直筋から硬膜に緊張が伝播され、緊張性頭痛が起こると考えられています。
nstagramもやっています