外出から帰宅すると、家にひと気が無い。
携帯を見ると モラ尾君から
今日は子供と友人宅に泊まります、とある。


急に気楽になり
何か食べるものはないかと
冷蔵庫を漁ると
鳥レバーと心臓のパックが出てきた。


ふと、昔話のお妃を思い出した。


妃は狩人に命じ
白雪姫の心臓と肝を取って来させて
それを調理させて食べようとした。
眠り姫の王子の母も然り
彼女も人喰い鬼で
王子の戦争遠征中に
孫二人の心臓と肝を食べようとしたのだ。



心臓と肝、塩焼きにして食べたら
どんな味なんだろう。
実は前々から気にはなっていたのだ。



早速 熱々の鉄のフライパンで
表面がカリカリになるまで焼いた。
ついでに獅子唐も焼いた。
塩と胡椒をたっぷりかけて
料理はあっという間に出来上がった。







モラ尾君に散々 魔女と呼ばれてきた私だが、
確かにその素質があるのかもしれない。


お腹がペコペコだったせいか
下ごしらえもせず焼いた
肝も 心臓も 滴る肉汁も
生臭さを含めて全てが美味しくて、
あっという間にたいらげた。







食後は満ち足りたせいで眠くなり
危うく歯磨きもせずに寝てしまうところだった。



りんごりんごりんごりんごりんごりんごりんごりんごりんごりんごりんごりんご



白雪姫のお妃は
悪事が露見してのち、
熱く焼けた鉄の靴を履かされて
死ぬまで踊ったという。


私は今、これを
熱い風呂の中で書いている。