二十一、二の頃のクリスマス、その当時付き合っていた彼女とヒイラギの枝を使って小さなクリスマスツリーを作った。
そのヒイラギはクリスマスを過ぎても部屋の出窓に置かれスクスクと育っていった。
僕は毎日水をやりその木の成長の速さを楽しんでいた。
しかし、二ヶ月ほど経つと部屋の中では育てられないぐらい背が高くなってしまった。
どうしようか迷った。捨てることなどできないし、鉢を買って植え替えてもいずれまた飼えなくなる。
考えた末にその時住んでいたコーポの敷地内、ちょうど自分の部屋の出窓から顔を出したところにある小さなスペースに植えることにした。
季節は冬。寒い外に出すのは気が引けた。
そのスペースの土を掘り返すとゴロゴロと岩が沢山出てきてなおさらそこに埋めるのは忍びなく感じた。
だけど、部屋の中では飼えない。しょうがなかった。
それから毎朝外のヒイラギに水をやった。
それから数ヶ月後僕はその部屋を出た。
原因は彼女との喧嘩だ。
僕らは喧嘩の耐えない関係だった。そして彼女がこう言った。
「喧嘩の記憶の残るこの部屋にはもう来たくない」と。
だからその部屋を引っ越して一緒に暮らすことにした。
今日、たまたま昔住んだその建物の近くを通った。
懐かしくて少し遠回りをして自分の住んでいた部屋の見えるところまで回り込んでみた。
すると、そこにはあのヒイラギが立っていた。
僕の背を遥かに越したヒイラギの木。
僕がいつも顔を出して水をあげていた出窓の半面を隠しながら更に高く伸びていた。
僕は懐かしさとうれしさで軽く泣きそうになりました。